放射光「その場」X線回折で明らかになるナノ結晶成長機構

ジョージア工科大学の研究チームは高エネルギーX線ビームで高圧高温化学反応による金属コバルトナノ結晶が数十原子を含むクラスターから最大5ナノメートルの大きさの結晶まで成長する過程を明らかにした(Ma et al., J. Am. Chem. Soc. 140, 17290, 2018)。

 

研究チームは、APSおよびNSLSII放射光を使ってコバルトナノ結晶が形成過程の「ナノメートル相図」を得た。バルク結晶のコバルトでは、結晶形成は、最安定構造(最小エネルギー)は、六方最密充填(hcp)構造である。しかし、ナノスケールでは、コバルトはより高いエネルギーの面心立方(fcc)相を形成する。小さいナノクラスターの高い表面エネルギーが全結晶エネルギーに影響を与えるため、安定化に寄与していると考えられている。

 

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Credit: J. Am. Chem. Soc.

 

クラスターが小さい場合、OHマイナス基または他の配位子の表面エネルギーによる効果が大きい。 溶液中のOHマイナス基の濃度を調整することで、表面エネルギー、つまりクラスター全体のエネルギーを制御できることがポイントである。

研究チームは実験的および計算的モデリング手法を用いて多形構造を調べた。溶液のpHを変えるために水酸化カリウムで、エチレングリコールの溶液中の水酸化コバルトを減らした。反応は、高圧下および200℃を超える温度で行われた。

反応がどのように起こったかを追跡するために、リアルタイムでそれを観察する高強度石英管製の反応セルで高温高圧下のX線回折実験を行った(下図)。水酸化コバルト溶液を加えた後、管を回転させて小型ヒーターで温度を変えながら実験を行った。

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Credit: J. Am. Chem. Soc.

 

反応のpHを変化させることによって得られたデータから、異なる組み合わせが2つの構造をどこで生成したかを示すナノメートル相図がつくられた(下図)。計算モデリングに対して密度汎関数理論(DFT)を適用して、結晶が異なる条件下でどのように核生成するかを調べた。

 

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Credit: J. Am. Chem. Soc.

 

コバルトの成功は、より複雑な合金や酸化物を含む他の材料のナノメートル相図を作成するためにこの方法論を使用できると期待されている。放射光ならではの実験と言えるが、ここでのポイントはDFT計算と構造モデリングを平行させたことで、実験と計算を組み合わせるアプローチはナノ科学の正攻法になりつつある。

 

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