国際リニアコライダー計画の見直し案 に関する所見(緊急)

ILCに対する計画予算化のスケジュールが国際的に求められている中で、文部科学省は日本学術会議の見解を、12月19日にその答申が以下のような「消極的否定」の論旨として公開された。詳細は文科省資料を参考にしていただくことにして、ここでは総合所見を転載する。なお学術会議の所見についてのKEKコメントは別資料を参照されたい。

 

国際リニアコライダー計画の見直し案 に関する所見

2018年12月19日 日 本 学 術 会 議

総合所見

250 GeV ILC 計画は、建設及び運転に長期間にわたる巨額の予算投入を要するものであ る一方、想定される主要な成果は、ヒッグス粒子の結合定数の精密測定の結果、標準模型 からのズレが見いだされれば、今後の素粒子物理学が進む方向性に示唆を与える可能性がある、というものである。検討委員会としては、将来の方向性に示唆を与える可能性がある、とされるところの想定される科学的成果が、それを成するために要するとされる巨経費の主要部分を日本が担することに十分に合うものである、との認識にはしなかった。また、250 GeV ILC の技術的成立性に関しては、克服すべき諸課題が残されて おり、それらは準備期間において解決するとされているものの、本計画の実施には依然として懸念材料があると言わざるを得ない。さらに、30 年という長期にわたる本計画の実 施に要する巨額の資金投下に関する適正な国際経費分担の見通しが明らかでない点も懸念 材料である。 現状で提示されている計画内容や準備状況から判断して、250 GeV ILC計画を日本に誘 致することを日本学術会議として支持するには至らない。政府における、ILCの日本誘致 の意思表明に関する判断は慎重になされるべきであると考える。 自然界の基本構成を追究する素粒子物理学は、これまで、理論研究と加速器を用いた実験研究の連携により素晴らしい成果を挙げ、「標準模型」という金字塔を打ち立てた。現今の重要課題は「標準模型を超える物理」の開拓であり、ILC 計画もそれを目指したものである。近未来における加速器ベースの高エネルギー素粒子実験の望ましい進め方として、 エネルギー・フロンティアを追究するハドロンコライダー(現状では LHC 及びその将来計画)と、これと相補的な役割を担うハイ・ルミノシティのレプトンコライダーを世界のどこかに実現することが考えられている。一方では、人類が持つ有限のリソースに鑑みれば、 高エネルギー物理学に限らず、実験施設の巨大化を前提とする研究スタイルは、いずれは 持続性の限界に達するものと考えられる。ビッグサイエンスの将来の在り方は、学術界全 体で考えなければならない課題である。

 

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