ERLの復活なるか〜Cs-K-Sbフォトカソードと超伝導RF電子銃

ドイツ研究センターヘルムホルツ協会(HZB)のSRFグループの研究チームは、bERLinProプロジェクトの一環として、高輝度放射光源ERLに使用できる第強度電子ビームを加速する超伝導線形加速器を開発している。

 

ERLのキーテクノロジーとなるフォトカソード

(リング型と異なり電子蓄積ができないため)ERLの重要な要素は電子源である。フォトカソードの力不足がPFの後継機となるはずだったERL計画を消滅させた理由のひとつであった。この電子は、フォトカソードを緑色レーザビームで照射することによって生成される。

量子効率とは、ある種のレーザ波長およびパワーで照射されたときに光電陰極材料が放出する電子の数で定義される。Cs-K-Sbのようなバイアルカリアンチモンは、可視光の領域において特に高い量子効率を示す。しかし、これらの材料の薄膜は反応性が高く超高真空でのみ作用する。

 

セシウム - アンチモン化カリウム

HZBの研究チームは、モリブデン基板上のセシウム - アンチモン化カリウムのフォトカソードの製造プロセスを変更し、フォトカソードの性能を大幅に向上させた(Schmeißer et al., Phys. Rev. Accelerators and Beams 21, 113401, 2018)。新しいプロセスで高い量子効率と安定性が実現し、低温であっても劣化しないことを示した。これは、超伝導電子源で動作するための重要な前提条件がクリアされたことを意味する。

The minimum spotsize spot shape measured at l 515 nm with the CCD camera One pixel copy

Credit: researchgate 

 

研究チームはフォトカソードの性能を実証した。このフォトカソードで生成した電子をSRFに導入後、量子効率は必要な数値の約5倍でプロジェクトで予定したビーム電流が達成された。

Spectral response of a Cs K Sb photocathode P014 with a QE of 101 at 515 nm measured

Credit: researchgate 

 

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Credit: HZB

 

Phys. Reviewが加速器専門誌を創設

オープンアクセスのNature Communicationに対抗して発刊されたPhys. Rev. Xだが、ついに加速器科学専門誌Phys. Rev. Accelerators and Beamsが創設された。

加速器科学やフォトンサイエンスの急激な発展で、加速器科学に焦点をあてた専門誌の登場は画期的である。もちろんRev. of Sci. Instrum.への投稿の選択肢はあったのだが、近年の発展でよりポピュラーサイエンスとしての位置付けが認められたことが背景にある。

Nature自身、細分化が著しいが、Nature Comm.Scientific Reportsはオープンアクセスで人気がある。Science Advancesもポピュラーサイエンスの新しい雑誌である。これらの派手な商業誌に比べるとどうしても学術誌は地味な印象でIFでも勝ち目がないが、今回のPhys. Rev.の加速器科学雑誌創設は一石を投じるだろう。

 

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