コヒーレントブラッグロッド解析によるペロブスカイト結晶の3Dイメージング

ペロブスカイトは、原子および電子の配置に対応して、絶縁体、半導体、金属または超伝導体と変化する構造敏感な機能物質である。ペンシルバニア州立大学の研究チームは、APS放射光を光源とした3Dイメージング解析手法コヒーレントブラッグロッド解析(COBRA)を用いて、複雑なペロブスカイト結晶構造の3D原子および電子密度を可視化した(Yuan et al., Nature Comm. 9: 5220, 2018)。

 

古くて新しいペロブスカイト

ペロブスカイト結晶は、酸素原子がコーナーに位置する8面体が構造の単位となる。研究チームは一連のペロブスカイト結晶上にチタン酸カルシウム結晶を成長させると、傾斜エピタキシーで成長し薄膜ペリブスカイトが強誘電体(自発分極)で900Kまで安定化されることを発見した。

 

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Credit: Nature Comm.

 

COBRA解析による3Dイメージング

上図aは薄膜とCTR測定の模式図。 CaTiO3 / DyScO3bCaTiO3 / LSATのCaTiO3と基板界面のミスマッチが模式的に示してある。b黄色の領域は、面内酸素8面体傾斜角の不一致領域を表す。 cコヒーレントブラッグロッド解析(COBRA)で使用されているシンクロトロンX線回折の形状。CTRに沿った回折強度は、試料をその表面法線について回転させることによって、Ewald球との交差位置を変化させてマッピングされる。 (H、K、L)は、逆格子の座標。 d室温でのCaTiO3 / NdGaO3の強度と逆格子ベクトルとの関係。

 

原子構造だけでなく、電子雲の3Dイメージが得られれば、物性の推測が可能になる。研究チームはまたチタン酸カルシウム薄膜の3D電子密度分布を可視化することにも成功した。

研究チームはAPS放射光で収集したデータをイスラエルのグループによって開発されたCOBRA(コヒーレントブラッグロッド解析)と呼ばれるX線視覚化技術を用い、8面体が傾斜した3Dペロブスカイト結晶に適用した。

 

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Credit: Nature Comm.

 

電子密度イメージで物性予測

成長したペロブスカイトの各原子層の構造は歪んでおり、密度汎関数理論(DFT)と呼ばれる計算技術を使用して機能を予測することができる。DFT計算による物性予測は、ペロブスカイトの8面体の傾斜によって材料特性が推定できるので、材料開発に役立つ。

上図は30 KにおけるCOBRAによって再構成された3次元電子密度。COBRAによって再構成された30 Kでのa: CaTiO3 / NdGaO3、b: CaTiO3 / DyScO3、c: CaO3 / LSATの3D電子密度。 ac面とbc面の偏光投影は、対応する面に表示してある。 酸素八面体傾斜はα、β、γを5倍に拡大し、電子密度の各端に沿って赤、緑、青の円グラフで表示した。

 

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Credit: Nature Comm.

 

上図はCaTiO3膜のSHG測定結果。Aは第2高調波発生(SHG)の概略図である。 直線偏光基本λ= 800nm、偏光方向をφで表したものが角度θで試料に入射する。 λ= 400nmで送信されたs / p偏光SHG信号が測定される。 b NdGaO3、DyScO3およびLSAT上のCaTiO3の温度依存性。 c 30KでのCaTiO3 / NdGaO3の偏光信号。

研究チームはTitan透過型電子顕微鏡でもCOBRAソフトを検証した。電子顕微鏡は3D画像を構築することは難しい。この研究でCOBRA解析による3Dイメージングが、このような複雑な構造解析に有効であることが示された。放射光データのCOBRA解析は、他の多くの低対称原子結晶の研究に適用可能であると期待されている。

 

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