放射光オペランドXASで明らかになるLiイオンバッテリーの電極表面の役割

シンガポールのナンヤン工科大学の研究チームはブロンズ相として知られている2酸化Tiナノチューブを含むLiイオンバッテリー電極の表面の寄与を放射光X線吸収分光(XAS)で明らかにした(Tang et al., Advanced Mater. online July 03, 2018)。

 

Liイオンバッテリーでは、2つの電極間をLiイオンが行き来することで、充放電する。しかし、これらの電極が蓄えることができるエネルギー(電荷)の量や充放電の速度は制限される。さらに、繰り返し使用すると、電極が膨張して収縮し、経時変化で性能が劣化する問題がある。

ブロンズ相として知られている2酸化Tiナノチューブを含む電極は、理論電荷容量が高く、動作中の体積変化が少ないため、優れた電極材料となる。しかしその反応メカニズム、特に表面の寄与は、表面反応を直接調べることができなかったために、完全には理解されていなかった。

 

研究チームは、その原子価状態として知られている材料のチタン原子の平均電荷が、放電中に材料がLiイオンを蓄積するにつれて、約+4価から+3価に低下することを発見した。この実験はまた、Liイオンが電極に蓄積すると、結晶構造が膨張することを明らかにした。低原子価状態のTi原子は高原子価状態のTi原子よりわずかに大きいため、価数変化は局所的に結晶構造を歪ませる。

figure fig4 Q320

Credit: Advanced Mater.

 

上図左カラムはXANESと呼ばれる価数 に敏感な領域で、このオペランド測定により充放電プロセスの価数変化を同定するのに用いられた。一方、右コラムはよりエネルギー範囲の広いEXAFSと呼ばれる微細構造のフーリエ変換で、この実験データから局所構造の情報が得られる。これらを組み合わせてTiイオンの価数変化と局所構造から得られる結晶構造の変化を得る手法は、世界の放射光施設で精力的にオペランド実験が行われ成果をあげている。

研究チームは、バッテリーの容量の大部分がTi価電子状態の変化に依存していることを見出し、中空の二酸化Tiナノチューブが、同じ材料のナノワイヤより多くの電荷を蓄積することができることを実証した。放電率が増加するにつれて、その構造内の深部ではなく、電極表面に多くの割合のリチウムイオンが貯蔵された。これは、Tiイオンの平均原子価状態の変化を減少させ、最終的に電極のエネルギー容量を低下させる(下図)。

 

Identification of surface charge contributions for TiO 2 B nanotube electrode and

Credit: Advanced Mater.

 Liイオン電池がどのように機能するかについての知見は、Liイオンの貯蔵および移動性を改善するために電極ナノ構造​​を設計する指針となる。

 

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