LCLSが世界最高速X線パルスを発生

太陽電池、触媒、および他の電子デバイスの反応は、電子の超高速ダイナミクスで支配されている。これらの電子の動きを理解することはメカニズム解明の鍵となる。それはXFELの登場によって高エネルギーX線短パルスが利用できるようになってはじめて可能になった。

 

超高速X線パルス生成における最重要課題は、電子の挙動を詳細に調べるにはパルスをできる限り短くすることである。現在LCLSでは独自に開発した2つの方法を使用して、硬X線の最短パルスが生成されている。パルスの持続時間はほんの数百アト秒(10億分の1秒)で、LCLSは、自由電子レーザーによって生成される硬X線パルス幅の世界記録を樹立した(Marinelli et al., Appl. Phys. Lett. 111, 151101, 2017)。

 

PhysRevLett.119

Credit: Adapted from S. Huang et al., Phys. Rev. Lett. (2017) by APS/Alan Stonebraker

 

これらの超短パルス硬X線パルスを利用で、原子スケールまたは分子スケールで電子の高速運動を捕捉することが可能になり、超高速電子を含む化学反応と磁気プロセスのメカニズム解明が進むと期待されている。

化学プロセスを支配する電子の高速運動を捕らえるには、アト秒の範囲のX線パルスが必要になる。線形加速器によって生成された密集した電子バンチを制御する2つの方法はSLACで開発されたものである。これらの方法は、最初に数百アト秒だけ長い硬X線​​自由電子レーザーパルスを生成するために使用されてきた。 X線パルスは、電子バンチの非線形圧縮を使用するか、またはナノスケール金属溝にバンチを通す(下図)ことによって短縮される。

 

ultrafastlas

 Credit: Nano Lett.  

 

これらの2つのパルス圧縮技術では、バンチの一部分のみが選択されてレイジングされるために、放射されるX線レーザー光は、パルス幅が非常に短い。これらの方式は、硬X線領域においてアト秒パルスを生じる。光レーザー変調法に基づくX-ray Laser-Enhanced Attosecond Pulses (XLEAP)(注1)と呼ばれる新しいプロジェクト研究やプラズマダイナミクスの研究が進められている。

(注1)多光子吸収過程を利用したEnhansed SASE (ESASE)技術(下図)を用いて100GWから最大1TW級の高強度レーザーパルスを生成するプロジェクト。

A schematic of ESASE as applied to the LCLS

Credit: LCLS

LCLS(LCLSII)、SACLA、European XFELの間の研究開発競争が激化しつつある中で、LCLSにおける研究開発は一層拍車がかかる。XFEL分野のR&Dと先端研究においてDESYグループとの協力関係が重要な貢献をしている、という意味で米国の施設であっても実際にはドイツと米国が総力を挙げて協力しているからこそ、持続性、発展性が途切れることがないのである。下の図にあるようにLCLS発の新技術にはDESYグループとの先行研究に基づくものが多く、ドイツ・米国の連携と競争するには、日本の研究組織単体や領域研究の規模では難しい。研究期間も4-5年で区切りというわけにはいかない。最低でも10年スケールの息の長さで若手育成と研究開発を同時進行させなければならないだろう。

日本がSACLAを中心にして発展しようとするには、加速器技術のオールジャパン体制とレーザー科学コミュニテイの連携が不可欠となるだろう。なぜならすでにCERN版のILCであるCLICはEuropean XFELの超伝導加速器技術の延長線上に建設することで低コスト化を目指していることからも明らかなように、XFELと高エネルギー直線加速器分野は共通の要素技術が多く、レーザー技術との連携も不可避だからである。

 

7.LCLS Two bunchHXRSelf seeding

Credit: J. Wu

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