世界最速で水を加熱するX線自由電子レーザー

DESYとウプサラ大学(スウェーデン)の自由電子レーザー科学センター(CFEL)の研究チームは、強力なX線自由電子レーザーを使用して室温から10万ピコ秒の水を10分の1ピコ秒(100万分の1秒)で加熱することに成功した。

 

「世界最速のポット」と呼べる加熱実験装置は、瞬間的な加熱で新しい水の性質を観測することができる他に、多くの水溶液や水を含む試料のトランジェントな状態観測に用いることができる(Beyerlein et al., PNAS online May 14, 2018)。

研究チームは、SLACのLCLSを使用して、非常に強力で超パルスX線を水に照射した。通常、水を加熱すると、分子はより強く振動する。分子レベルでは、熱は運動であり、分子の運動は加熱で高速になる。しかし今回の実験ではエネルギーの高いX線が水分子から電子を奪って電荷のバランスを破るので、原子は強いクーロン反発力を感じ、激しい動きを始める。

 

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Credit: PNAS

 

75フェムト秒未満では、1秒間に10億分の1秒で、水は液体からプラズマへの相転移する。電子が原子から取り除かれて電気的にプラズマ状態になる。

しかし、水が液体からプラズマに変わっても、原子はまだ大きく移動する時間がないため、液体の密度で水が残っている。このエキゾチックな物質の状態は、地球上では自然に見いだすことはない。それは太陽とガス巨大な木星のプラズマと類似しているが、密度は低く、地球の中心よりも高温状態である。

 

X線パルスの最初の70フェムト秒間の水分子と原子の動きのシミュレーションが行われ、実験データはダイナミクス・モデルに使用された。

 

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Credit:PNAS

 

高速加熱実験とシミュレーションで水のエキゾチックな状態を研究することが可能になる。水には、密度、熱容量、熱伝導率など、多くの異常が観測された。

X線自由電子レーザーは、しばしば、小さな試料の原子構造を調べるために使用されるが、実際には、X線ビームを照射した試料は、破壊される。今回の実験で、X線パルスが衝突し始めてから25フェムト秒までの水の構造変化はほとんどなかった。しかし、75フェムト秒では、大きく変化したため、様々な試料の観測時間ウインドウを最適化する必要があることが明らかになった。

 

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