プラズマによる大強度γ線パルス生成の新原理

高エネルギー電磁放射(γ線)の高輝度光源は、基礎研究、産業および医学において幅広い応用がある。例えば小型で高輝度のγ光源は非破壊分析で必要性が高い。そのため20MeV以下のエネルギーを有する低エネルギー高輝度ガンマ線パルスを生成する光源開発が活発化している。

 

プラズマフイラメント

これまでの発生原理は放射光(自由電子レーザー)や逆コンプトン散乱によるものだったが、マックスプランク研究所の研究グループはシミュレーションで、プラズマの自己組織化で生じるプラズマフイラメントがγ線パルスを発生することを示した。下図に示すように赤で示される放射光や逆コンプトン効果によるγ線に比べて、輝度もエネルギー領域もこれらを上回る光原である。

 

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Credit: Max Plack Institure

 

マックスプランク研究所の研究チームは高密度の相対論的電子ビームがミリメートルの厚さの導体と相互作用して生じる、増幅された放射光の発生メカニズムの実証実験に成功した(Benedetti et al., Nature Photonics online Mar. 02, 2018)。

研究によれば電子ビーム密度が約3×1019cm-3を超えると、電磁気不安定性が生じ、超相対論電子は107-108ガウスの大きさの自己生成電磁場を通過する。これは、0.1%帯域幅当たり1025光子s-1 mrad-2mm-2以上のピーク輝度を有するコリメートされたγ線パルスが生成される。

 

これによって200keVからギガ電子ボルトの範囲のエネルギー領域で60%までの電子 - 光子エネルギー変換効率が達成された。この技術を応用すれば将来は短パルス(30fs)、コリメート(ミリラジアン)、高フラックス(> 1012photons・s-1)の高繰返し周波数(キロヘルツ)γ線コンパクト光源が実現すると期待されている。

電子ビーム中に(空気中の分子の密度に匹敵する)非常に高い電子密度があるとすると、ターゲットは電子ビーム自体と相互作用し、導体中の自由電子が電子ビーム逆方向の電流を形成する。

このため重なり合った電流は強力な電磁場で不安定となり、入射電子ビームを複数のフィラメント(下図)に分解する。これは、順に超相対論的電子の激しい加速を引き起こす自己生成場を増幅し、最終的にはシンクロトロン放射の巨大な放出となる。この放射は、通常の制動放射の輝度の1000倍大きい。

 

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Credit: Max Plack Institute

 

下図は導体の厚みを変えたときの輝度スペクトルを示す。厚みを大きくすれば最大1GeVまでの高エネルギー領域がカバーされる。

この結果はあくまでシミュレーションであるがプラズマによる高輝度γ線発生メカニズムは国内外で積極化していて目が離せない。

 

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Credit: Max Plack Institute

 

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