災害用電源について〜個人対策の必要性

熊本地震の復旧に時間がかかっている。311同様に地震による停電で復旧作業が遅れ、住民の日常生活に大きな支障となっている。災害地域での電源供給にはデイーゼル発電機を積んだ移動電源車が活躍する。デイーゼル発電機は500kW出力のものが日本原子力発電に納入され、東海第二発電所と敦賀発電所に4代ずつ配備され、非常時には2-3台が並列接続運転するので1,000kWから1,500kWの電力を供給できる。

  

デイーゼル発電機とガスタービン発電機

もっとも普及している非常用電源はデイーゼル発電機で20kWの小型のものからから1,000kWを超える大型まで幅広い出力を持つ。始動が早く安価なため普及したがエネルギー効率、燃費や環境汚染などの欠点と設置場所の選択が(福島第一の事故で実際にあったように)難しい。ガスタービン発電機は航空機用ガスタービンを用いたもので、エネルギー効率が高く大出力に適しているため、1,000kWを超える大型の発電機の配備が原発を中心に始まっている。

311の福島第一の全電源喪失の経験を踏まえ、万全を期すためにデイーゼル発電機より大型の2,000kWガスタービン移動電源車(明電舎)が日本原燃に配備されている。国内最大出力のガスタービン移動電源車は川崎重工のものがあるが、柏崎刈羽及び福島第二発電所向けに3,600kWのガスタービン移動電源車が2012年に配備された。

 

ガスタービン移動電源車

ガスタービン発電機は航空機用のガスタービンと発電機を25トントラックに積み、15トントラックに制御装置とバッテリー、燃料タンクを積んで2台1組で行動する。柏崎刈羽及び福島第二発電所に納入されたガスタービン発電機システムはロールスロイス車の航空機用ガスタービンを使用している。

311以降、非常用デイーゼル発電機システムに加えて移動電源車の配備をした電力会社が多いが、(総務省の災害対策の貧弱さに代表されるように)全国規模の非常電源は電力会社任せある。またNTTを始め携帯キャリア各社は停電時の非常電源として小型、中型の移動電源車を多数保有して全国に展開している。

 

貧弱な総務省の災害対策

しかし災害対策用となると総務省に中型が3台、小型が7台あるのみで全国をカバーしきれていない。陸上自衛隊にも電源車が配備されているが、全国の災害対策には移動電源車を拡充する必要がある。

今回の地震では救援物資の供給が途絶えて被災者に行き渡らなかったが、311の教訓が未だに生かされていない。米国にはFEMAという災害対策組織があり、非常時に備えて備蓄を持ち、被災者に救援物資を届ける体制ができている。全米をカバーする災害対策ウエブで災害地域が救援を要請できる。災害対策に熱心な米国でもハリケーン・カトリーナでは救援が遅れたことを教訓として広域災害対策が整備された。今回の地震で移動電源車、救援物資を迅速に輸送する手段を確立すべきではないだろうか。

総務省の移動電源車を増やして全国配備することが急務ではないか。電力会社も普段から送電網に移動電源車を分散させておくのも良いかもしれない。

 

災害に備えるバッテリー

日産のEV車が九州地区に100台貸し出されて活躍している。EVはバッテリーパックを装備しているので、非常時の電源対策に有用である。日産リーフでは30kWhだがテスラ社EVは90kWhという大容量である。テスラ社のバッテリースペックを支えているのはパナソニックのPC用バッテリーを7,000個使ったバッテリーパックである。

テスラ社はこのバッッテリーパックを用いて10kWhの壁掛け型を日本円で約38万円で販売している。家庭の電源を置き換えるには2ユニット以上が必要であるが、昼間に太陽光パネルで充電しておけば家庭の夜間電力には十分であるほか、停電時に役立つ。普段から公民館や学校に設置してあれば携帯電話のチャージなどで慌てることはない。

太陽光パネルのコストはkWあたり25-30万円なので10kWパネルと10kWバッテリパック、インバーターを組み合わせて300-350万円となる。

個人でもスマホ・携帯の電源対策は簡単にできる。モバイルバッテリーの容量が20,000mAhならスマホフル充電が4回できる。普段でもバックアップ電源として活用できるしいざという時に慌てず済むので、ぜひ個人で準備しておきたい。(筆者はAnker社の13,400mAh2ポート(4,000円@アマゾン)と同社の15W 2ポートソーラーチャージャー(4,500円@アマゾン)を組み合わせて、遠出する際には常に携帯することにしている。311の停電で非常時の電源確保の必要性を体験したためである。)

日本は電力網がしっかりしているため、非常電源と言ってもピンとこないが一旦災害で停電になると電源のない世界の恐ろしさを体験することになる。自分で身を守り苦難を乗り切るためのに1万円を出資してモバイルバッテリーとソーラーチャージャーを準備しておきたい。

 

 

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