東芝がテキサスに建設する改良型BWR

軽水炉は大きく分けて沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)がある。福島第一のマークI型原子炉はBWRであるが、BWRの脆弱性を改良した改良型BWR(ABWR)は東芝とGE-日立が販売している。

東芝がテキサス州に建設予定で原子力規制員会の建設許可を受けたものは1400MWクラスの2基である。(下図参照)

 

NRC regions and plant locations 2008

Source: Wiki

 

ABWRとはどういう原子炉なのだろうか。下図に示すのはGE-日立の最新のABWR(UK ABWR)の構成である。BWRがPWRと異なる点は一次冷却水系を用いてタービンを回すことで、熱効率は良いがタービンへの配管中を放射能を帯びた冷却水が流れるため、いわば炉心から熱を直接取り出すため放射能漏れなどの危険性がPWRより高い。しかしABWRは第三世代原子炉では最新の型式で脆弱性が改良されている。

 

reactor building

Source: HITACHI-GE

 

上の図で示されるようにまず圧力容器は強固なコンクリートに囲まれた構造になっていて、構造強度が高い。また下図の⑦で示されるように圧力容器中に冷却ポンプを内蔵しているため、圧力容器外の配管系が簡素化された。原子炉の熱出力はこのポンプの回転数で制御される。またこのことで作業員の放射線被曝も最小限に抑える。

圧力容器内部の構造にも大幅な改良が施されている。中でも制御棒の駆動系を水圧系と電動系の二重化で安全性を高めている点に特徴がある。さらに使用済み核燃料など放射性廃棄物の取り扱いについて過去の経験を生かし、使用済み核燃料を少なくするなど環境汚染を防ぐための工夫が凝らされている。

安全性については敷地内にある原子炉建物を含むすべての建物は津波対策のためかさ上げされた地面に建てられ、すべての建物のドアは耐水となっているため海水が建物内に侵入することはない。べント系にはフイルターが設置されもし緊急時にベントが行われても大気中に排出される放射性物質はわずかである。

特筆すべきは緊急時に備えたバックアップの建物は原子炉建物よりさらに高い位置にあり、非常用発電機の燃料と冷却水槽を地下に備える。バックアップ棟には非常用デイーゼル発電機のほかバッテリーや非常用冷却システム、非常用制御室を備え隣には消防車が緊急出動できるようになっている。まるでABWRの構想は福島第一を参考にした感がするほど津波対策が講じられている。しかし核燃料サイクルや最終処分など原子力利用の根本的な問題を解決するものではないことは言うまでもない。

 下の図が原子力規制委員会が認可したテキサス南部に建設が予定されているうGE-日立と東芝の開発になるABWRで、出力は1350-1460MW。東芝のABWRの詳細は別ページを参照。ABWR型原子炉は1990年代中頃から日本と台湾に建設されたが、テキサス州に建設される新型では溶接箇所が30%減り、小型化して建設期間が39月に短縮されている。

 

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Source: nuclearstreet 

 

ABWRの設備が福島第一にあったなら被害は食い止めることができただろう。老朽化原子炉の安全性の問題を直視し、安全性を抜本的に見直した世代に更新していたら、と思うと残念でならない。私たちは今でこそ安全な空の旅を当然のように考えているが、旅客機の安全性は過去の事故による尊い犠牲に立っている。事故により技術が改良されそれ以降の利用者が恩恵を受けているのである。

 

 

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