NASAが地球温暖化に異論—化石燃料が局所的に地球を冷やす

COP21は発展途上国と先進国との利権が相反した末に「歴史的合意」とうたわれる「パリ協定」が採択された。これまで先進国だけに温室効果ガスの排出規制を義務付けてきた「京都議定書」に代わり、発展途上国も含む世界各国が温暖化対策に取り組むものと期待されている。

 

パリテロにもめげずに集まった150カ国の首脳たちの力の入れ方も真剣さがあらわれていた。メデイアはCOP21の成果を大々的に報道し人々はひとまず安心したかにみえるが本当はどうなのか疑問に思う人も多い。それもそのはず地球温暖化については、相反する意見・データがあふれ混乱が続く一方である。しかし現実的には原発再稼働の根拠として「温室効果ガス排出が少ないエネルギー源」である点が強調されている。

 

地球温暖化の複雑さ

温室効果ガスと温暖化の相関についても前後関係が逆とする説がある。要約すると「過去の温室効果ガス濃度が8倍にも達した時代があるが、平均気温が対応した増加を示していない、温室効果ガスの増加は気温上昇の結果である」というものである。確かに長期的にみれば大規模な気候変動は繰り返されており、地球が「ミニ氷河期」を迎えようとしている。「温暖化が真実なのか」という基本的問題を過去100年に限り是としても、地球の気候を温室効果ガスだけで記述できるとも思えない。

 

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Source: The Guardian

 

人工衛星による極地の氷床の観測は地球温暖化の指標とされ、北極の氷の減少(上図)と南極氷床の両方が減少しているとされてきたが、後者について南極の氷が増し局所的には「寒冷化」が進んでいるとし温暖化路線に反する事実を公表したNASAはこのほど「化石燃料を燃やすとその地域が冷えこむ」局所的冷却効果について発表を行った。

 

温室効果ガスを排出する地域は冷えこむ

NASAの発表は「温室効果ガスで地球温暖化」定説に一石を投じる結果となった。NASAによれば地球上の工業化が進み、森が伐採され化石燃料が使われた地域が「局所的に冷え込んでいる」という。

環境論者は長い間、化石燃料を燃やすことで発生する温暖化ガスによって地球の温暖化がもたらされるとしてきた。NASAのデータは温室効果ガスが温暖化をもたらすことを否定するものではないが、化石燃料が燃えるときに排出されるエアロゾル(微粒子)(注1)が周辺温度を下げていることを示している。

 

NASAは地球の平均気温を予測する気候モデルを検証した結果、気候変化を定量化するのに二つの因子、Transient Climate Response(TCR)とEquilbrium Climate Sensitivity(ECS)のふたつの側面を考慮する必要があるとしている。それぞれ地表の温度変化に影響するが、倍増した温室効果ガスに対する反応の時間スケールが異なる。

(注1)大気注に微粒子が増えると太陽光を遮断することによって気温を下げる効果がある。温室効果ガスと反対の効果の因子としてIPCCでも取り上げている。詳しくは解説および論文エアロゾルの予想を上回る冷却効果参照。微粒子自身が太陽光を遮断すると同時に、雲形成の核となり太陽光を遮断する関節効果も含めて冷却効果がある。

TCRは100年ほどの短期的な予測である一方、ECSは数100年間に及ぶ長期的スケールでの平衡状態を問題にしている。NASAの発表以前から専門家の間では発電所や火山の噴火などによって放出される微粒子の遮蔽効果で地球が冷却されることはよく知られていた。NASAは森林の伐採が進み大地が露出して太陽光の反射が多くなる北半球では、微粒子による冷却効果が大きいため、気候モデルに局所的な冷却効果を適切にとりいれる必要があるとしている。

 

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Source: NASA

 

2015年10月にもNASAは南極の氷が増大している「均一な地球温暖化」に相反する事実を明らかにしている(注2)。工場のない極地の気温の変化は別な機構によるものであるが、今回の工業地域の冷却効果は微粒子効果によるとすれば納得できる。

(注2)英国立海洋学センターは人工衛星観測データで南極周辺の海面水位上昇が溶け出した氷によるとしている。南極氷床の挙動は地球温暖化の平衡の大きな要因のひとつとされていて、NASAの発表は地球温暖化説には不都合な真実である。IPCCの報告書は南極の氷の消失を10年間で300億トンから1470億トンに増加したとしている。NASAの南極の氷の増加の発表は地域差による増減を考慮しても全体の氷の減少を地球温暖化の主張の柱にすえるIPCCの信憑性に疑問を投げかける。少なくとも南極に限定すればIPCCの「氷減少」が誇張である可能性が高まった。このことは温暖化が誇張されている可能性につながり単純化された議論の危険性を示唆している。

 

NASAによれば以前の気候モデルでは北半球の微粒子による冷却効果が取り入れられていないため、TCRとECSの予測に誤差がある。過去150年にわたる温室効果ガス濃度と地球の平均気温の観測値をこの単純な気候モデルので解釈することが危険であるという。

より精度のよい気候モデルには微粒子排出などの局地的な事象を取り込む必要がある。NASAの主張はCOP21の歴史的合意に水を差すともいえるが、少なくとも地球の気温を予測する気候モデルの精度を上げる必要性を提起している。それには温室効果ガスだけでなく自然・人為的期限の微粒子、オゾン濃度、土地の変化などを盛り込まなくてはならない。そして改良されたモデルによると全ての因子が温室効果ガスのような均一な温暖化だけでなく、他の因子は地球気温の変化に影響する。旧モデルのTCR温度変化は1度Cであるのに対して新モデルでは1.7度Cとなる。

 

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Source: breitbart 

 

過去18年間の人工衛星によるデータでは地球温暖化の兆候は観測されないが、NOAAの地表でのデータは温暖化傾向を示す矛盾は地球雨温暖化を誇張することで利益を得る団体が圧力をかけたとする見方もある。結論を出すにはまだまだ多くのデータと精密な気候モデルが必要のようだ。原発再稼働の根拠にしても温室効果ガスの論点の検証が必要である。

 

上記のデータにどのような傾斜の直線を引くかについては自由だが、不十分なモデルの結果と比較で決めることは避けなければならない。

 

 

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