4Dランジュバン方程式による核分裂片分布予測

核分裂は、原子の核が分裂し、一般に2つの小さい、必ずしも等しい原子ではない原子が形成されるプロセス(2つの核分裂生成物があるため、二元核分裂と呼ばれる)である。核分裂は、原子力分野で何十年にもわたって応用されてきたが、核分裂反応で生成する核分裂片について、まだ完全に理解できているわけではない。

 

核分裂生成物の正確な予想

東京工業大学の研究チームは、核分裂反応の生成物をより正確に予測するために、既存の数学モデルを拡張した(Usang et al., Scientific Reports 9:1525, 2019)(https://www.nature.com/articles/s41598-018-37993-7.pdf)。

研究チームは、核分裂現象によってどのような種類の核種が生成されるか調べ、4つの異なる核分裂モードがあることを見つけた。これらのモードは、核が完全に分裂する直前の2つの核の形状に関係している。そのうちの2つは標準モードと呼ばれ、より軽い核とより重いものを生み出す、すなわち非対称分裂である。他の2つは超長核分裂モードと超短核分裂モードと呼ばれ、どちらもほぼ同一の2つの核を生成する。

さまざまな重元素の核分裂生成物(およびそれらの運動エネルギー)を予測するために使用されてきた1つのモデルは、3次元ランジュバン方程式であった。これらの3D方程式は、分裂しようとしている原子核に対して定義される3つの変数に基づいている。それらは、①左右のフラグメントの中心間の距離、②それらの先端の変形、そして③質量または体積の違い、質量非対称である。

 

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4Dランジュバン方程式による新しいモデル

上図では質量数に応じて、256Fmと258Fmの核分裂生成物が示されている。 これらのプロットでは、3Dモデルを使用して計算されたデータ(青い線)と実験データ(赤い点)の不一致は大きいが、4Dモデル(黒線)を用いて計算されたデータは実験をよく再現する。3Dモデルは多くの重い原子核について満足のいく予測を与えたが、フェルミウム(256Fmと258Fm)とメンデレビウム(260Md)同位体の実験データと一致しなかった。

研究チームは3Dモデルを拡張し、4Dランジュバン方程式を導入し、核分裂片の変形を示す変数を異なる2つの独立した変数に置き換えた。この追加の自由度により、新しいモデルは、以前のモデルで予測できなかったFm核分裂説明することができた。

 

256Fmの実験データ(256 Fmと258Fmの核分裂生成物の実験データと計算データ)は、この同位体では標準核分裂モードが支配的であることを示し、258Fmと260Mdのデータは超短核分裂モードがはるかに高いことを示した 。研究チームはこの結果から、切断時の2つの断片の形状が核分裂生成物とそれらの運動エネルギーに影響を及ぼし、断片の先端の変形を等しくすることは不正確な予測につぃながると推論した。

研究チームはこのモデルをさらに改良して、多くの核の核分裂反応に対する予測力を高めることを計画している。このようなモデルでフェルミウム同位体のような特殊な核分裂関連現象の解釈が可能になると期待されている。

 

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