光誘起半導体-金属転移を利用したFeSナノシートの水素発生高効率化

高い触媒活性を有する安定な電極触媒の開発は、水素発生反応の鍵となる。南京大学の研究チームは、室温に近い近赤外線によって誘起された超薄トロライト(注1)FeSナノシートの半導体-金属転移が、水素発生反応の触媒活性を向上されることを見出した(Zhou et al., Nature Comm. 10: 399, 2019)。

 

高い反応効率と同時に、速いキャリア移動が得られ、10mAcm-2で142mVの過電圧および36.9mVの低いターフェル勾配(注2)が得られた。

(注1)六方晶系のFeS多形、天然には存在比率が低い。

(注2)電気化学反応の速度と過電圧との間の関係を記述する方程式(ターフェル式 (Tafel equation) )の勾配。

 

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Credit: Nature Comm.

 

上図はa超薄トロライトFeSナノシートのFE-SEM画像、b FeSナノシートのXRDパターン、挿入図は原子構造モデル。c上:FeSナノシートのAFMトポグラフィ画像。 下:FeSナノシートの高さプロファイル。 d FeSナノシートのTEM像。 挿入図はSAEDパターン。e FeSナノシートのHR-TEM画像。 挿入図は拡大画像。 f 一本の炭素繊維上に成長したFeSナノシートの EDSマッピング。

 

41467 2019 8358 Fig4 HTML

Credit: Nature Comm.

 

上図a P6¯2c(0%)とP63 / mmc(100%)相の間の原子歪みの割合の関数としてのギブス自由エネルギー。 b P63 / mmc相のFeS(100)表面の原子構造モデル(下)とそれに対応するP6¯2c相の表面(上)。c NIR光照射ありまたはなしでの異なる温度でのFeSの偏光曲線およびdターフェルプロット。 e NIR光照射下でのI – t曲線。 f接触角測定を用いたNIR光照射の有無による親水性の差。 g等価回路(挿入図)を用いた、異なる温度での暗視野と明視野での比較。 h -0.2V(RHE)の一定電位におけるFeSナノシートの水素発生(右)電流密度(左)。

 

水素発生触媒の効率の進歩を支えているのがナノ科学である。一昔前は微細化で表面積の増大が知られていたが、現在ではサイズ効果によるバンドエッジエンジニアリングや単原子触媒のなど、ナノ材料の本質的な利用が高効率かが急速に進みつつある。

 

化石燃料を置き換えるのが原子力でなく再生可能エネルギーであるならば、水素発生触媒はエネルギー貯蔵で安定な電源となる為に不可欠である。電力が必要な場合は燃料電池、直接燃焼させたり液体燃料合成や高分子材料製造など応用は多岐に渡る。

 

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