中性子イメージングによるバイオマス研究開発

バイオマスを燃焼させる過程でも、大気汚染、環境保全、公衆衛生を害するガスが放出される。排出ガスの悪影響を軽減するために、スウェーデンのルンド大学の研究チームはオークリッジ国立研究所(ORNL)と共同で、バイオマスのよりクリーンなエネルギー変換する研究を推進している。 ORNLで中性子散乱を使用して、バイオマスが極端な温度にさらされるとどのように劣化するかが調べられた。

 

中性子イメージングとバイオマス

研究の目的は、バイオマスが熱分解する方法、つまり熱環境で劣化する方法について理解を深めることにある。中性子は非破壊的で、X線よりも物質をより深く透過することができ、水素などの軽元素に非常に敏感であるため、中性子実験が適している。下図は中性子イメージングの実験原理。

Schematic layout of a neutron imaging beamline 12

Credit: researchgate

 

研究チームはORNLの高フラックス同位体炉(HFIR)でCG-1Dイメージングビームラインを使用しました真空下で1,000°C(1,832°F)の高温下で木材、わら、コルクのバイオマス試料を観察し、放出された水素ガスやその他のガスを分析した。

 

バイオマスが分解すると、閉じ込められた水、ガス、および炭化水素も放出される。これらの熱分解生成物をからバイオ燃料が製造されるが、これらのバイオマス燃料が極端な温度にさらされると劣化することがわかった。バイオマスが熱分解された後、副産物として生成されるバイオ炭は農業および園芸用の土壌品質を改善するために使用することができる。下図は中性子イメージングによる木材からの水素ガス放出過程。

 

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Credit: sciencedirect

 

中性子散乱を使用して、バイオマスが熱分解してバイオ炭になる過程が調べられた。バイオマスの内部構造を中性子散乱技術を用い、熱分解のコンピュータモデリングでバイオマス熱分解の詳細なメカニズムが明らかになりつつある。かつては原子力技術開発の主力であったORNLだが、現在はエネルギー研究開発の最前線に立ち、再生可能エネルギー研究を支えている。

 

バイオマスの理解を深める

スウェーデンなどの北欧諸国は、バイオマス燃料への依存度が高い。しかしバイオマスのクリーンエネルギーとしての評価を使用時(燃焼時)のみで判断するのは正しくない。実際には製造過程で忘れがちな植物の成長過程のエネルギー収支も取り込むと、意外にもクリーンエネルギーとしてのメリットはこれまで考えられてきたより、少ないことが認識されつつある。バイオマスの燃焼過程の詳細な理解が求められている。

原子力のメリットが燃料採掘や使用済み核燃料廃棄と廃炉までの工程を全て考慮した議論になっていないのと同じである。このことは残念ながら、日本のエネルギー基本政策で見逃されている。バイオマスについては炭素サイクルとして視野を広げた評価が不可欠である。農業分野でもJPARCの活用に期待したい。

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