MITが核融合国家プロジェクト推進を提案

核融合技術は長い間、安全で豊富な、炭素を含まない電気エネルギーを生産する未来技術として活発に研究開発が世界各国で行われてきた。しかし正味のエネルギー利得を生み出す核融合反応を実用レベル(採算性のとれる発電技術として)実現するにはまだ至っていないものの、磁気閉じ込め方式が、今後数十年以内に核融合を実証することについては、核融合関連研究者のコンセンサスが得られている。

 

当初は参加を拒んでいた米国もITER核融合施設プロジェクトに参加する一方で、米国は核融合発電をコンパクトなプラントで行うための基礎研究をMITと民間のスピンオフ企業で進めている。要素技術の開発では超伝導磁石、原子炉材料、シミュレーターなどの関連技術が進展している。

とりわけより高い磁場を発生するコンパクトな高温超伝導磁石の進歩が特筆される。コンパクト核融合炉は、2025年までは稼働しないITERよりも速く、より安価な実用炉が登場するとみられる。

 

米国が核融合に積極的な理由

米国が核融合炉の早期実証と商業炉の建設に向けて精力的な取り組みを続けているのは、理由があある。100基近くの原子炉が老朽化し、寿命を延長しても新規原子炉で更新する見込みがないことや、気候変動対策で代替エネルギーに化石燃料(火力発電)を使う選択肢はないことも、核融合に期待を寄せる理由になっている。

公共および民間組織において核融合へのいくつかのアプローチが試みられている。国立アカデミーは磁気閉じ込めプロジェクトであるITERへの米国の参加と整合する磁気閉じ込めに焦点を合わせているが、米国の本音は商業化しやすいコンパクト核融合炉である。

 

米国の本命はコンパクト核融合炉

コンパクト核融合炉は磁気閉じ込め方式のスケーリングメリットが必ずしも成り立たないという論文の発表でさらに加速された。原子炉においても東芝の提案する小型原子炉にビルゲイツが関心を示し、スピンオフ企業が開発を競っているのと似ている。送電網の中心に大型発電所を置く集中方式に代わって、将来は送電網に小型発電所を組み込んだ分散方式が主流になると考えられていることと矛盾しない。

2020年代半ばまでにエネルギー利得を実証し、2030年代初頭までに実用的な核融合炉の設計に漕ぎ着ける可能性がでてきた。高磁場大口径超伝導マグネットを実証するプログラムがMITで進行中であり、コンパクト核融合エネルギーシステムへの重要なステップとなる。ITERの完成を待たずに、2020年は核融合炉の実用化を目指すコンパクト核融合炉の実証試験に世界中が注目する年となる。

 

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