触媒特性を支配する原子酸素拡散〜Ru金属上のグラフェン表面

我々の日常生活に欠かせない燃料、プラスチック、および他の製品は、化学反応を引き起こす触媒反応を使用して製造されている。より良い触媒を設計するためには、科学者は適切な原子を正しい場所に配置することが必要になる。

 

これまで原子位置を最適な場所に選ぶのは難しいので、経験的に最適化が行われてきたが、その経験的プロセスが効率の良い非経験的手法に置き換わろうとしている。

パシフィック・ノースウェスト国立研究所の研究チームは、グラフェン表面上で触媒のアンカーのような役割を持つ単一の酸素原子の正確な位置を決定した(Novotny et al., J. Am. Chem. Soc. 140, 5102, 2018

。金属担体上のグラフェンのような炭素原子層の場合、単一の酸素原子が固定される場所を予測することによって、最適な触媒原子のパターンを設計することができる。下図はRu(0001)上のグラフェンSTMで、(d)が0.002ML酸素導入後のデータ。(e)は4個の酸素原子を含む領域の拡大STMイメージ。

 

a STM image of the Gr flake on Ru0001 obtained at 450 K before dosing atomic oxygen

Credit: researchgate

 

このときすべての可能性を調べつくすのではなく、最適構造を分子レベルで設計することのが好ましい。今回の研究では、酸素原子がグラフェンに結合する正確な場所を特定し、モデル触媒として構築する方法を確立した。この研究は、グラフェン表面上の酸素原子の挙動を詳しく調べ、高活性の触媒を作るために不可欠な手法となる。

研究チームはフラットなルテニウム金属の上には、炭素原子の1原子層のグラフェンを成長した。この構造では、一部の炭素原子は金属に結合するが、他の炭素原子は結合しないことが特徴である。

 

実験と分子軌道計算を組み合わせることにより、触媒部位を固定するのに理想的な場所にある単一の酸素原子が、その下にある金属に近くかつ結合していない炭素原子に優先的に結合することがわかった。一方、酸素結合のあまり好ましくない位置は、①2つの炭素原子の間、②ルテニウムに結合している炭素原子、③ルテニウムから離れた未結合の炭素原子である。下図はHCCおよびFCC領域における原子酸素ホッピングレートのアレニウスプロット。

 

Arrhenius plot of the temperature dependent AO hopping rates in the HCP and FCC regions

Credit: researchgate

 

この研究は、金属担持グラフェン上の炭素原子への酸素結合について理解を進め、効率的な選択的触媒の設計に役立つものと期待されている。

 

 

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