IAEAが予測する原子力の縮小傾向

国連原子力機関(IAEA)は、原子力発電による世界的な発電能力が今後数十年で縮小する可能性があると述べた。新しい報告書で、IAEAは、老朽化した原子炉が廃止され、競争力の低下に苦しんでいる原子力業界は縮小傾向に入りつつあることを初めて認めた。

 

それでも全体として、原子力発電は世界のエネルギー・ミックスの現在の平均比率を維持できる可能性はあるとしている。しかし最悪のシナリオでは、原子力発電能力は2030年まで10%以上低下する。

報告書は原子力セクターを圧迫するその他の要因としては、天然ガスの低価格、再生可能エネルギーの電力価格への影響、2011年福島災害に対する日本の対応などが挙げている。

またいくつかの国(ドイツやスイスなど)が原子力発電を段階的に廃止する計画を発表しており、IAEAはこの業界の安全要求が高まって、建設時間とコストが増加するとしている。このことが新規原子炉建設を難しくしている。

一方、2030年頃に退役予定の原子炉が相当数あるとしたIAEAの下限(最悪のシナリオ)では、2017年の392ギガワットレベルから10%以上低下する。

 

このシナリオでは、ヨーロッパと北米の生産能力はほぼ3分の1にまで低下する可能性がある。下図は米国の老朽化による原子炉数の推移。

 

Shellenberger reactor fallout

Credit: Bloomsberg

 

地球規模で見ると、この予測は、現在の5.7%から2050年には世界の発電量の2.8%に減少すると見込んでいる。

IAEAは、「途上国、特に中国やインドなどの国々では膨大な電力が必要であり、温室効果ガスの排出を削減したいアジアなど、原子力への関心は依然として高い」と述べた。

IAEA理事長天野天野氏は、「原子力の潜在能力を最大限に発揮する大きな進展がなければ、持続可能な開発と気候変動緩和に十分なエネルギーを世界が確保することは難しい」と述べた。原子力の大きな進展とは高温ガス炉などの次世代炉の他に、安全な小型炉の研究開発がある。

 

北海道の地震で火力発電所が緊急停止したが、ボイラーの損傷とタービン破壊で復旧は見通しが立たない。北電は年内の復旧を見込むが、大型タービンの復旧は交換するタービンブレードの予備がないため、年内の復旧は疑問視されている。大規模停電の復旧の遅れには火力発電への依存度が大きすぎるという日本全体の脆弱性が背景にある。

 

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