中国のペブルベッド高温ガス炉の安全性に警鐘

科学技術立国を目指す中国の勢いは目覚ましい。とりわけ世界中で100超の新規原子炉計画は中国だけであり、先進国では一様に勢いの衰えた原子力を支えている感すらある。

 

しかしあまりにも開発を急いだ代償は高速鉄道事故のように悲惨な結果を生みかねない。特に高度な科学技術では複雑なシステムがたったひとつの要素の機能不全が重大事故につながる。ドイツの原子力安全の専門家は、HTR-PMとして知られている商業規模の原子炉、ペブルベッド高温ガス炉の運転に注意を促している(Moormann et al., Joule, online Aug. 23, 2018)。

(注1)高温ガス炉は、900℃を超える高温の熱を取り出せることから、水素製造等の発電以外の利用も可能な原子炉であり、高温ガス炉に関する研究開発が米国、中国など各国で積極的に進められている。

ペブルベッド高温ガス炉(HTR-PM)は、安全性が高いとさているが、この論文は中国のペブルベッド高温ガス炉の重大な事故の可能性を警告している。そのためフルパワーでの営業運転に先立って継続的な研究、安全対策の強化、およびより良いモニタリング初期運転計画を推奨している。

 

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Credit: nfrcoalition.blogspot

 

より効率的に電力を生成できるほか、HTR-PMのようなペブルベッド型HTGRは、以前の原子炉設計が直面した安全上の課題をクリアしている。グラファイトとセラミックでコーティングされたウラン燃料の粒子を使用する原子炉コアは非常に高い温度とパッシブ冷却システムで電源喪失に対処することができるため、これまで災害の際にも、安全に守られている」とされてきた。

しかし実際には、HTR-PMは、今日運用されている原子炉に通常装備されている安全装置なしで建設されている。高圧ガス漏洩で放射性物質が偶発的に放出された場合のバックアップの役割を果たすアクティブ冷却システムも備えていない。

 

メルトダウンがないことは、すべての危険な事象が起こり得ないことを意味するものではないので、過度の安全神話はかえって危険であるという。特に新技術では常にユーザーエラーの可能性が高い。事実、プロトタイプのHTGRは、高レベル放射性ダストによってホットスポットが形成されることがわかった。ペブルベッドの設計はまた、大量の放射性廃棄物を生成し、これを長期に貯蔵または処理するのが困難である。

リスクを軽減するために連続的な監視、原子炉格納容器とアクテイブ冷却装置の設置、原子炉を温度に応じて監視する始動段階での予防措置を提唱している。また、環境ストレスやテロに脆弱な地上キャニスターに保管される燃料廃棄物の長期的な保管オプションの安全性を検討することも推奨される。

 

ペブルベッドHTGRについてはすでに論争があったが、それらの多くの問題が十分に公表されていない。中国にとって稼働が近ずいたペブルベッド高温ガス炉の運転は、科学技術で自立するために越えなくてはならない試練の一つとなる。

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