金パラジウム合金化で水素貯蔵能力が増大するメカニズム

水素を吸収する物質は、水素の貯蔵と精製に使用され、クリーンエネルギー媒体として有用である。最もよく知られている水素吸収剤であるパラジウムは、金と合金化することによって、吸蔵能力を改善できる。

 

水素貯蔵の第1段階は化学吸着であり、気体のH2はパラジウム原子と衝突し、表面に吸着する。第2に、化学吸着したH原子は、数ナノメートルの深さに拡散する。東京工業大学の研究チームはプロセスのボトルネックは遅い第2ステップであることを見出した。

純粋なパラジウムでは、金属と衝突するH2分子の約1 / 1,000程度が内部に吸収されるため貯蔵量は少ないが、パラジウム表面が金と合金化した場合には、吸収速度は40倍以上速くなる。また金の原子の数がパラジウムの単一単分子膜の1/2よりもわずかに小さいときに、水素の吸収量が最大になる。研究チームは、熱脱着分光法、およびガンマ線を用いたH原子の深度測定を用いた。

 

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Credit: Tokyo Institute of Technology

 

水素の拡散は典型的な化学反応のように、その速度はエネルギー障壁、すなわちH原子がパラジウムに浸透するために超える障壁の高さで決定される。障壁の高さは、化学吸着したH原子のエネルギーと、それらが最表面直下のサイトに到達する遷移状態との間の差に相当する。

密度汎関数理論(DFT)計算によれば、金原子は化学吸着された水素を不安定化し、そのエネルギーを増加させ障壁の高さを減少させる。表面をH原子の安定性の低い環境にすることにより、表面に残る代わりに、より深い部位により迅速に浸透する。光電子分光法によって、金原子がパラジウム電子のエネルギーを押し下げ、水素を化学吸着する能力を弱めることが示唆された。

 

しかし弱く化学吸着されたH原子はまた、表面から単に脱着する可能性がより高く、気相に戻ってしまう。わずか0.4単原子層の金で水素貯蔵が最大化される理由は、それ以上の金組成が増えると、水素の脱離はパラジウムに拡散するためである。今回の研究結果は表面結合水素に依存する化学反応のための固体触媒の役割をもつ水素貯蔵材料の設計に役立つと期待されている。

 

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