水分解反応の世界最高エネルギー効率達成

水素は、持続可能なエネルギーシステムにおける貯蔵媒体としての中心的役割を果たすと考えられている。しかし水素の製造法は大規模な工業的製造法から光触媒などの人工光合成に到るまで、エネルギー変換効率は高くなかった。

 

このほどカリフォルニア大学を中心とした国際研究チーム(注1)が、太陽エネルギーを利用した水分解で水素発生効率の世界記録となる19%を得た。研究チームは、III-V半導体のタンデム太陽電池とロジウムナノ粒子の触媒と結晶性TiO2コーティングを組み合わせることによって世界最高効率を達成した(Cheng et al., ACS Energy Lett. online June 25, 2018)。下図はタンデムセルと後述する光電面を採用した水分解システムの原理。

 

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Credit: pubs.rsc

 

(注1)カリフォルニア工科大学、ケンブリッジ大学、イルメナウ工科大学、フラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所ISEの研究者が参加した。

 

太陽光発電は再生可能エネルギー供給システムの主力事業であり、太陽光は世界中で豊富に入手可能だが、24時間連続発電はできない。この変動する発電能力に対処する解決策は、特に太陽光を用いて水素を生成することによって、太陽光を化学エネルギーの形で貯蔵することである。

これは、水素を簡単かつ安全に貯蔵することができ、電気と熱を直接発生させる燃料電池や、可燃性燃料を製造する還元反応に用いたり、多くの方法で使用することができる。太陽電池と触媒を組み合わせて「モノリシック光電面」を形成すると、水分解が容易になる。モノリシック光電面では光電陰極は水性媒体に浸され、光が入射すると水素が前面から酸素が背面から発生する。

 

モノリシック光電面は、III-V半導体で作られた高効率のタンデムセルに追加の機能層を組み合わせた。これにより、セルの表面反射率を減少させることができ、それによって、寄生光の吸収および反射によって引き起こされるかなりの損失を回避することができた。この方式は2015年には、すでに14%以上の効率を達成していた。この研究では、腐食防止上層を、優れた反射防止特性を有するだけでなく、代表的な光触媒である結晶性TiO2層で置き換えた。

さらに、水分解反応触媒の直径10ナノメートルロジウムナノ粒子も使用した。

太陽光シミュレーターで、希薄な過塩素酸水溶液で19.3%の効率を達成、中性pHの電解液では18.5%に達した。これらの数値は、この層の組み合わせで達成できる理論最大効率の23%に近い。

 

TiO2層は、実際の太陽電池を腐食から保護するだけでなく、有利な電子特性のために電荷輸送特性を改善する。この研究では、直接太陽水分解のためのオーダーメイドのタンデムセルが20%を超える効率を達成する可能性があることが示された。このアプローチ(タンデムセル)では、2つの吸収膜のうちの片方はシリコンであってもよい。III-V半導体と低価格のシリコンを組み合わせたセルで、コストを大幅に削減できる。

 

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Credit: ACS Energy Lett.

 

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