多価イオン化をリガンドで制御する超原子とは

バージニア・コモンウェルス大学の研究チームは、周期律表の2つ以上の元素群の原子の組み合わせを見出す新しい戦略を発見した。これらの組み合わせは周期律表の族を超えた性質も期待できることから「超原子」と呼ばれ、より効率的なバッテリーやより良い半導体を含む新しい材料創出に使用することができる。

 

電池や半導体の基本原理は共通で、ある原子群から別の原子群への電荷の移動に依存している。このプロセスの間、電子はドナー原子からアクセプター原子に移動する。研究グループは、構造安定性を維持しながら複数の電子を供給または受け入れることができる、最適な超原子を用いることが、より良いバッテリーまたは半導体を製造するための重要な要件であるとしている(Chauhan et al., Nature Comm. 9:2357, 2018)。

 

超原子が電荷を効果的に移動させる能力は、複数の元素群の特性をどのように実現できるかどうかに依存している。研究グループは金属超原子を利用する手法を提案した。現在、周期律表のI族金属(アルカリ原子)は、電子を供与するのに必要なイオン化エネルギーが低い。しかし、多電子を供与する多価イオン化には、非常に多くのエネルギーが必要になる。

そこで原子のクラスターが多電子供与・授受の可能性に着目した。このような超原子はすでに作られているが、これを効果的に行うための指針となる理論は存在しない。研究チームは、金属原子と結合してそれらを保護および安定化する有機リガンド分子が、エネルギー準位を変化せずに電子の交換のしやすさを変えられることを理論的に示した。

 

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Credit: Nature Comm.

 

具体的には有機配位子と対になったホウ素、炭素、ケイ素およびリンと混合されたアルミニウムクラスターを用いてこの理論を適用した。分子軌道計算で、最も低いイオン化エネルギーを持つアルカリ電子供与体であるフランシウムよりもより低いイオン化エネルギーを金属クラスターが持つことを実証した。これによってリガンドを使ってクラスターの電気化学的性質を、電子のドナーかアクセプターのいずれかに変えることができる。この手法を使えばリガンドを最適化することで、多価イオンでバッテリーの電荷移動量を増やしてパワー密度を改善できると期待されている。

 

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Credit: Nature Comm.

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