見直される炭素循環への海洋の寄与〜従来の気候モデルに誤り

プリンストン環境研究所の研究チームは地球規模の炭素循環(カーボンサイクル)を調べ、これまでの炭素循環モデルが誤りであることを見出した。

 

この研究は大気中の炭素がどのように、海洋酸性化のような環境変化をもたらすかについての従来の考え方を変える可能性があることを示した。炭素が世界中のどのように分布しているか、特に北半球と南半球の間でどのように分布しているのか、についての従来の知見に誤りがあることを示している(Resplandy et al., Nature Geoscience online June 11, 2018)。

研究チームは、海洋循環を再調査し、河川の炭素移動を考慮することにより、世界の大気炭素のうち、大気から陸地に吸収される炭素の40%は従来の推測と異なることを見出した。特に、南極大陸を取り囲む南洋と、北半球の森林は、(炭素の大規模な吸収体であるが、)これまで考えられているほど多くない事実が明らかになった。

 

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Credit: Nature Geoscience

 

河川の寄与が過小評価

これまで河川の影響が大部分は見落とされていた。研究チームは地球の海洋での炭素輸送を見積もるのと同じ方法で、北半球と南半球の間の熱輸送を評価した。その結果、南半球の海洋は以前考えられたよりもはるかに小さな炭素吸収源であることがわかった。また、北半球の陸地ははるかに小さな炭素吸収体で、平均気温上昇を評価する従来の気候モデルよりも炭素吸収が少ない。その代わりに、この炭素は、河川によって海洋に送られるため、以前の研究およびモデルよりも海流によって南半球に輸送される炭素は20〜100パーセント大きくなる。

 

 従来の気候モデルは誤り

海洋炭素循環は記述が容易だが、陸地の炭素移動の直接的な観察は、困難であり、多くの要因によって影響を受ける。その結果、海洋データで、陸地の酸素収支が推定できる。新しい炭素循環の評価では、南半球の海洋の炭素吸収は過大に評価されており、陸地の寄与が相対的に低い。平均気温上昇をシミュレートする気候モデルの炭素循環の仮定が適切でないことを意味している。下図のbが新しい海洋と河川の炭素移動。

 

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Credit: Nature Geoscience

 

エネルギー比率の決定の要因のひとつである大気中のCO2の挙動を理解するためには、地球全体の炭素収支理解する必要がある。大気中に放出される炭素は(熱収支と同様に)、膨大な収支の差であるためである。人為的なCO2排出量は収支に影響を与えているとはいえ、炭素循環のダイナミクスを理解しないと袋小路に陥る恐れがある。人為的な排出を含む陸地起源の寄与は最大40%減る可能性がある。

再生可能エネルギーにしても全体像でみれば必ずしも環境負荷が小さいといえないものも含まれていることもある。エネルギー、問題の正しい理解に炭素循環の知識は不可欠であり、不適切なモデルでの議論の危うさをこの研究は教えてくれる。

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