海水から実用レベルのイエローケーキ抽出に成功

パシフィック・ノースウェスト国立研究所の研究チームは、世界で初めて、原子力発電のためのウラン燃料を製造するために使用する粉末状のウラン(イエローケーキ)5グラムを、アクリル繊維を使用して海水から抽出することに成功した。

 

この方法をスケールアップすれば商業原子炉(軽水炉)核燃料を海水から抽出する可能性を秘めている。研究チームは海水中に自然に存在する溶解したウランを捕獲するアクリル繊維を開発した。海水中のウランの利用技術は古くから開発が行われてきた(以下の図)。

 

Fig1 UGrabber v2 ed

Credit: uraniumfromseawater.engr.utexas.edu 

 

既製の線維を化学的に改質して、ウランに選択的な吸着剤に変換し、効率的で再利用可能な吸着線維を開発した。アクリル繊維に化学的に結合した分子またはリガンドにウランを吸着させことで、海洋環境に設置できる耐久性があり、再利用可能な波形のポリマー吸着剤が得られた。

この吸着材は安価で、吸着特性は可逆的で、吸着ウランは容易に放出されて黄色ケーキに加工できる。評価実験に使われた海水には約3ppbのウランが含まれている。地球全体で海水には少なくとも40億トンのウランが含まれていると推定されている。これは陸上のウラン埋蔵量の約500倍にもなる。

 

この吸着剤はまたウランだけでなく重金属にも親和性のあるため、有毒な金属を含む汚染地下水を浄化するためにも応用出来る可能性があるという。また高価な金属であるバナジウムを地面から採掘するのではなく、海洋から抽出する可能生がある。

この材料は暖かい海水ではるかによく機能し、メキシコ湾岸では3〜5倍の抽出率が期待され、海水からウランを得る経済性が確保できるとしている。

 

このところ米国では大気中のCO2から炭素を取り出して液体燃料を製造したり、水素を水分解で得る研究に力を入れている。ウランを海水から抽出する技術が実用化されれば、原子炉運用の維持コストが下がり、発電コストで競争力が増すだろう。しかし無尽蔵にウランが手に入ったとしても、新規原発の建設のボトルネッックは環境保全(核廃棄物処理)と住民の反対であり、発電コストとCO2排出量の論点だけでは、簡単に原子力ルネサンスとはいかないのが現実である。

 

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