高プロトン伝導性固体電解質

燃料電池やLiイオンバッテリーは、携帯電話、自動車、衛星で使用されるほとんどすべてのデバイスの電源として活用されている。エネルギー貯蔵デバイスの直面する課題は、より薄く、より効率的に、より安全に、より高速な再充電を実現する電解質の開発である。

 

一般的に使用される液体電解質はかさばりやすく、短絡しがちであり、穴があいた場合には火災または爆発の危険性がある。

ペンシルバニア大学の研究チームは、現在の最先端の材料の2倍のプロトン伝導度を持つ新しい多種多様な固体高分子電解質(SPE)を提案した(Trigg et al., Nature Materials. online Apr. 30, 2018 )。この固体高分子電解質は、現在、プロトン交換膜燃料電池の一部に使用されているが、新型電解質は、携帯端末のLiイオンまたはNaムイオン電池にも適用できる。

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Credit: Nature Materials

 

プロトン交換膜燃料電池で広く使用されているナフィオンは、プロトンを透過し、電子を透過しない柔軟なプラスチックシートである。水を吸収した後、プロトンは、フィルムに広がる微細なチャネルを通って流れることができる。

ナフィオンのような薄い固体高分子電解質は、航空宇宙用途の燃料電池に適している。

液体電解質を使用するシステムは、電極上の金属の蓄積が短絡する可能性があるため、電極をさらに離して固体電解質とする必要がある。ナフィオンはこれらの問題を考慮して開発されたものであるが、改良の余地がある。ナフィオンは構造が乱れているので、基礎研究が難しい。

 

このフッ素化ポリマーは、時々、スルホン酸基で終わる側鎖に分岐する。これらのスルホン酸は水中に引き込まれ、フィルムの一方の側から他方の側へのプロトン輸送を可能にするチャネルを形成する。しかし、これらの側鎖はランダムな位置で生じ、異なる長さであるため、不規則なポリマーを通る結果として生じるチャネルは、イオンを輸送するねじれた迷路のようになってしまう。

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Credit: Nafion illustration adapted from Kreuer. J., Membr. Sci. 2001, 185, 29–39, Fig. 2

 

一方、開発された新しいプロトン輸送構造では、プロトンが迅速に流れることができる、多数の平行したチャネルが特徴である。作成するには官能基間の間隔が結晶化するのに十分長いように、酸基をポリマー鎖に沿って均一に配置する。これまでの最も詳細な構造解析は、10年前に作成されたカルボン酸基の間に正確に21個の炭素原子を有するポリマーに関するものであった。

ポリエチレンに結合できる化学基としてスルホン酸基を組み込む過程で、プロトン伝導性がより強い酸を必要とすることがわかった。強酸を用いた合成プロセスによって、最終的に精密スルホン酸ポリマーが形成された(Gaines et al. Macromolecular Chemistry and Physics)。

 

スルホン酸基を有するポリマーは整然とした層に組み立てられ、ナフィオンに見られる曲がりくねった迷路の代わりに直線チャネルを形成する。これはなふイオンよりもプロトン移動度が2倍高速にすることができた。

 

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