福島第1周辺のCs微粒子中に含まれるウラン酸化物

福島第1原発3号機の建物内部の放射線量が低下し廃炉に向けての作業が可能な15mSv/h(最大)に達したという明るいニュースと対照的に、これまでのCsを中心とした汚染が一段落すると別の汚染が注目を集めている。炉心融解によるデブリと微粒子に含まれる燃料起源のウラン酸化物である。

 

九州大学とマンチェスター大学の研究グループはフォールアウトに含まれるウラン酸化物の詳細を明らかにした。福島第1周辺からCs、Tcに混じって放出されたウラン酸化物で環境汚染はこれまで考えられていた高放射線量の計測される期間は過小評価されていることが明らかになった(Ochiai et al., Environ. Sci. & Eng. Online Jan. 29, 2018)。

研究チームは原発から数km離れた管理区域外の土壌から、2011年3月の事故のフォールアウトのミクロスケールの微粒子を分析した結果、Csを高濃度で含む微粒子中にウラン酸化物が含まれることを明らかにした。

これまでは飛散した放射性核種はCsやIなど、揮発性のものに限られると案が得られてきたが、今回の研究で固体微粒子の成分として不揮発性の物資も放出されたことを示す結果となった。

 

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Credit: Environ. Sci. & Eng.

 

研究によれば燃料デブリの放射性核種(ウラン)は、Csを高濃度に含むマイクロ微粒子中あるいは外側に付着して存在する。それらはTc, Moを含むマグネタイトには〜70nm径のUO2+xナノ結晶あるいは(U + Zr)モル比が0.14〜0.91のポーラスな約200nm径の(U,Zr)O2 + Xナノ結晶の形態で存在する(上図右)。

ウラン酸化物のキャリアとなるCs微粒子の詳細な分布が燃料起源の核種の状態を評価するのに重要な鍵となる。燃料デブリには長寿命の核種が含まれているとなれば、Cs半減期で環境汚染の収束時期を見積もることはできなくなる。廃炉作業を担当する東電にとっても、管理区域内に残されている燃料デブリの状態を把握することは廃炉作業において重要となる。研究チームはこれにより今後は原発周辺の広範囲な土地の燃料デブリ(微粒子)の飛散の詳細を明らかにする必要があるとしている。

 

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