安定性が向上したp-i-n反転ペロブスカイト太陽電池

1986年に発見された高温超伝導の初期の舞台となったペロブスカイト材料は太陽電池やスピントロニクス材料として期待が高まっていることはすでに伝えた通りで、太陽電池のエネルギー効率では最大23%とシリコンの牙城に迫る勢いである。

 

薄膜材料を太陽電池セルに用いるペロブスカイト太陽光パネルはここ数年、精力的に研究されて、高温超伝導転移温度の競争を彷彿とさせるように書き換えられて最終的にはシリコンにほぼ並んだことで、関心は実用材料としての安定性に絞られた。

韓国の全南大学の研究チームはペロブスカイト薄膜の安定性を向上させる研究に取り組んでいたが、このほど薄膜材料の安定性を新しい手法で向上することに成功した(Mari et al., materialstoday online Feb. 10, 2018)。

 

ペロブスカイト材料の歴史は古く、1839年にPerovskiによってロシアで発見された。一般的な組成はABX3でA, Bはカチオン、Xはアニオンである。A, Bサイトの金属の選び方とアニオンの組み合わせで、電子状態(スピン状態)が広範囲に制御できることが特徴である。また結晶構造が層状であるためペロブスカイト材料薄膜は実験室で低コストで成長できる。

研究チームは共沈法によりナノポーラス・ニッケル酸化物(NiOx)を正孔輸送レイヤー(HTL)とした有機ハイブリッド・ペロブスカイト((FAPbI3)0.85(MAPbBr3)0.15 )薄膜成長技術を開発した。ここでFAはフォルムアルデヒドヨウ化鉛、MAはメチルアンモニウムヨウ化鉛を表す。一方電子輸送レイヤー(ETL)には空気中で安定なp型およびn型金属酸化物を組み合わせた(下図)。

 

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Credit: materialstoday

 

この手法で成長したp型NiOx電極をもつp-i-n反転ペロブスカイト薄膜太陽電池の高い安定性が確認された。注目される変換効率は19.1%、電流密度(JSC)22.76mAcm-2、開放電圧(VOC)1.076Vであった。160日間の連続使用後の変換効率劣化は20%とこれまでの薄膜より安定度が向上した。

 

なおこの系には鉛が含まれている。鉛フリーの材料開発も進んでいるが鉛フリー材料の変換効率はまだ低い。

 

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