スイスが原子力段階的廃棄に向けて国民投票
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- カテゴリ: 原子力/エネルギー
- 作成日:2017年05月22日(月)17:34
- 投稿者: Hiroyuki
スイスがこの日曜日に原子力利用の段階的中止に向けて国民投票を行う。老朽化した原子炉を更新して原発を維持するか再生可能エネルギーで置き換えるかを国民が直接投票で選択することになる。
原子力発電の廃止・継続を決める国民投票
再生可能エネルギーへの方針変換は福島第一事故後から準備が始まったもので、事故後にスイス政府は原子炉の段階的閉鎖を決めていた。再生可能エネルギーの中身は太陽光、風力、地熱、バイオマスなどに加えて水力発電の増強も加えた広範囲のカテゴリーにわたる。
事前投票の結果では賛成票が優勢で5月10日の世論調査では3月に比べて5ポイント下げて賛成56%となった。直接民主主義の代名詞となった国民投票は郵便投票が受け付けられるため、多くの国民はすでに投票を終えている。
スイスは稼働中の5基の原子炉で1/3の電力を供給している。昨年末の投票では原子炉閉鎖を早める案は、最大運転期間を45年に制限することを条件に否決されている。再生可能エネルギーの整備計画のスケジュールは立っていないが消費エネルギー節約と組み合わせることになるとみられる。一人当たりの削減エネルギーは2020年に16%、2035年に43%が目標とされる。
原子力から再生可能エネルギーへの転換は個人の消費エネルギーの削減という痛みを伴うことになりそうだが、安全性の担保との引き換えにどのような国民の判断が下されるかは、今週の日曜に判明する。
利益相反で結論の出ない原子力発電事業の継続可否を直接民主主義はどのように答えを出すのか、注目されるがいずれにしても接戦となることは問題の複雑さを物語っている。
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