Bigger the betterの終焉

加速器の世界ではエネルギーフロンテイアを極めるには最大の周長の円形加速器あるいは最長の直線加速器の建設が、目標とされいつしか"Bigger the better"という考え方が主流となっていった。世界最大の円形加速器はLHC、周長は27km。計画中のILCは全長30kmで現在世界最長のSLACを圧倒する。SLACでさえも3.2kmの建物はサンフランシスコ国際空港に着陸する東海岸からの航空機で機長が説明するので、目にした人は多いだろう。空から見るといかにも巨大な姿に圧倒されつつ、巨大化が本当に必要なのかという考えが頭をよぎる。

  

"Bigger the better"

原子炉の世界はどうなっているのだろうか。一昔前は標準的な大型炉の発電能力は1000 MWだったのが、現在の3.5世代炉では1600MWのものがすでに中国で稼働している。巨大化していったものは他にも多いが、現在フランスで建設中の国際熱核融合実験炉ITERが最たるものである。ITERはJT60SAと同じくトカマク方式の磁場閉じ込め核融合炉で、ドーナッツ型の容器の中に強力な磁場で高温プラズマを閉じ込める。

しかし"Bigger the beter"が成り立たなくなることが核融合炉の世界で起こっている。ひとつはドイツが独自に進めるステラレータ型核融合炉。また最近の研究ではプラズマ閉じ込めによる核融合による発電システムの実用化にはITERのような巨大なトカマク炉は必ずしも必要でないことが明らかになりつつある。この論文は衝撃的な内容のため、この分野でダウンロード数がトップだという。それほど衝撃的なのは実用化する核融合炉が現在進めらているITERの延長にない可能性が高くなってきたからだ。

 

TE start plasma

Source: the engineer

 

巨大化の終焉

両方のシステムで共通する要素技術は超伝導マグネット。高温超伝導材料で発生磁場磁場を上げ、容器をコンパクトにしてプラズマ加熱の効率を上げるのがポイントとなる。

研究によれば磁場閉じ込め装置のスケールとプラズマ発生と出力費には関係が薄いという。これはこれまでプラズマ閉じ込めの効率は容器が大型になるほど増大すると考えられてきた従来の開発方針が覆されるという結論である。

原子炉の世界でも小型原子炉の開発が急ピッチで進められており、東芝とビルゲイツが協力して開発している他、ロスアラモス国立研究所の研究者らが立ち上げたベンチャー起業でも研究開発が行われている。使い捨てバッテリーのような安全性の高い小型原子炉の実用化は、原子力における"Bigger the better"時代の終焉となる。

軽自動車が走り回り、TVを小型化し、携帯音楽端末を世界で初めて開発した日本は核融合や原子炉、加速器の世界でも"Bigger the better"に幕引きをはかる技術開発ができるのか期待したい。加速器に関してスモール・イズ・ビューテイフルという記事をかいたが、核融合もそうなる日が近い。そうなったとき、今度こそは「もんじゅ」のようにだ慣性の大きい研究開発はやめたい。

 

 

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