ジオエンジニアリングで本当に温暖化は防げるのか

最近の「工学」には新しい分野が急速に台頭し、昔ながらの機械工学や材料工学の教授たちは肩身の狭い思いをしているのではないだろうか。例えば金融工学やここで取り上げるジオエンジニアリング。どちらも現代社会になくてはならない存在になったが、功罪の側面を持つことも注意しなくてはいけない。金融工学と連動した電子株取引は、商取引を高速化して経済活動を活性化したが、ヘッジファンンドを生み出し世界不況を引き起こす諸刃の刃となっている。

  

ジオエンジニアリングとは

ジオエンジニアリングは地球工学学と訳されるが、地球温暖化に対抗する手段として期待が高まりつつある。しかし地球は複雑系でありどこかをいじれば必ず別の何かが予想しない挙動を示す可能性がある。これがバタフライ効果である。地球工学といえども複雑系としての地球を理解していなければ、何かを変化させることの副次的効果は認識しているのだろうか。

地球温暖化に温室効果ガスが寄与している、というのは地球表面が受け取る太陽エネルギーは一定で、放熱が妨げられるとする考え方である。国際的な取り組みで全ての国が排出削減に取り組むことになったが、現実には規制が進んでいない。エネルギー収支をみればしかし太陽エネルギー以外に、化石燃料を代表として莫大なエネルギーを人間は消費している。

エネルギー消費に伴って一部は熱エネルギーとなるので、エネルギー消費の多い大都市ではヒートアイランド現象で局所的な温暖化が起こる。また大規模な森林の伐採で乾燥地域をつくりだすなど、温暖化や異常気象も「地球環境の人為的な変化」による、とする表現が使われるようになった。

 

温室効果ガスを減らすジオエンジニアリング

温室効果ガスに話を絞ると大気への放出量を減らす規制が進まないのであればふたつのジオエンジニアリング手法が考えられる。ひとつは温室効果ガスの大半を占めるCO2を空気中や海中から集めて大気中の濃度を減らすアプローチ。例えばアイスランドのヘリシェイデイ発電所はCO2を石に変えて地球に戻す計画に取り組んでいる。世界初となるCO2を岩石に変換する試でみは、CO2を玄武岩に吸収させてから硬い岩石に変成するが、予想以上にその速度が速く実用に耐えることがわかった(Carbfixプロジェクト)。

Carbon Captureと呼ばれるこの手のジオエンジニアリングには海中にあるCO2を藻を使って取り込んで光合成で処理しようとする計画もある。しかし各国が取り組もうとしているのが、大気中の二酸化炭素(CO2)を回収し、貯留しようという大規模プロジェクトであるが、地球の改変を伴うプロジェクトによって、どんな影響が出るか、早急に検証されるべきだとする慎重論も強い。

 

地球を冷却するジオエンジニアリング

もうひとつのジオエンジニアリングは太陽光の照射量を減らす、Solar Radiation Management (SRM)と呼ばれるものである。アイデアはは20世紀末に大噴火を起こしたフイリピンのピナツボ火山が噴煙を吹き上げ、その影響で地球の気温が0.5度下がり(下図)、効果が3年間持続した。

 

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Source: appollo.lsc.vsc.edu

 

噴煙をシミュレートする硫黄を含む微粒子を大量に成層圏に巻けば、太陽光の散乱で地球表面の照射量を減らすことができるとされる。下の図のAlbedoとは太陽光の反射率。微粒子で増大する。ピナツボ火山の例では気温が下がったが、この噴火で観測されたのは同時に降雨量が減ることであった。微粒子が氷の成長の核となるのであれば逆に降雨量が増えてもよさそうだが、太陽光が減れば地面から蒸発する水分が減少するので局所的な降雨はあっても全体としては降雨量が減少し乾燥化する。

つまり人為的に太陽光の照射量を減らすと乾燥化で農地が減り今度は食料危機が訪れることになる。そこで国ごとに独立したジオエンジニアリングを行い、微粒子を成層圏に散布すると遠く離れた他の国で干ばつ被害がでる恐れがある。しかしジオエンジニアリングについて各国が協調する必要性が認識されたのはごく最近のことであり、多くの懐疑的な専門家の批判ともとれる意見にもかかわらず、50年も前から微粒子散布は行われてきた。

 

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Source: The Scientific Method

 

ケムトレイル

ケムトレイルというのは飛行機から散布される微粒子がつくる飛行機雲に似た航跡にそってできる白い帯である。ケムトレイルは世界中の空で日常的に観察できる。ジェット機が飛んだ後に残る飛行機雲はすぐに消失するが、ケムトレイルは消えずに航跡と直角方向に広がっていく。飛行機雲はコントレイル(contrail)と呼ぶのに対して意識的に化学物質を散布することをケムトレイル(chemtrail)と呼んで区別する。

 

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Source: Chemtrails Project UK

 

空を眺めていて特には十字を描くように飛行機が飛び、ケムトレイルが広がっていくのが頻繁にみられるだろう。しかしケムトレイルを誰がどのような予算で散布しているのか、またどのような物質を使っているのかは明らかになっていない。

火山をシミュレートするといっても酸化硫黄を大量に捲くことに問題はないのか、またアルミニウムも健康上、問題はないのか、という点については政府間で同意されたとしても国民の同意が必要である。ジオエンジニアリングが目的なら詳細を明らかにしてもよいのではないか。秘密に行う理由はないはずである。

 

 

 

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