転移した脳腫瘍の放射線治療…病巣にピンポイント照射で、認知障害リスク低減

他の臓器にできたがんが脳に転移した「転移性脳腫瘍」の放射線治療で、病巣にピンポイントで照射する方が脳全体に照射するよりも、認知障害などのリスクが低くなるとする研究結果を、国立がん研究センターなどの医師らでつくる研究グループが発表した。

 転移性脳腫瘍は、がん患者の約1割に起こる。腫瘍の摘出手術を行った後、再発を防ぐため、脳全体に放射線を照射する「全脳照射療法」が標準治療とされている。しかし、腫瘍以外の脳の正常な部分にも放射線があたるため、記憶力や集中力が衰えるなど、認知機能に悪影響が出るケースもある。

 研究を行ったのは、全国のがん治療施設の医師らでつくる「日本臨床腫瘍研究グループ」の脳腫瘍グループ。グループは2006年2月~14年5月、腫瘍が4個以下で、最大の大きさが3センチを超えるものが一つのみの転移性脳腫瘍の患者271人を対象に実施した。

 腫瘍摘出後に全脳照射療法を受けた137人と、腫瘍のみに照射する「定位放射線照射療法」を受けた134人の経過を調べたところ、手術後3か月以降に副作用で認知障害が起こる割合は、全脳照射療法の16・4%に対し、定位放射線照射療法は7・7%と低かった。生存期間(中央値)は、いずれも15・6か月と変わらなかった。

 グループ代表者で山形大医学部参与の嘉山孝正さんは「認知障害を軽減できれば、患者さんの生活の質が大きく改善することが期待できる。定位放射線照射療法を標準治療として確立したい」と話している。

 

yomiDr. 

水素発電とは何か? 安全性や市場成長率は? 水素自動車との仕組みの違いを理解する

水素を“燃料”に電気を作り、電気モーターを回して走るのが「水素自動車(燃料電池車/FCV)」だが、水素から作った電気を家庭や事業者に送るのが「水素発電」。水素はCO2(二酸化炭素)を発生しないエネルギー源で将来性があるが、特に水素発電は、LNGや石炭に比べてコストが高い欠点を克服できれば大きく成長できると予測されている。本稿ではその詳細について説明する。

<目次>

  1. 水素発電が注目される理由、そのメリットは?
  2. 水素のエネルギー利用には2種類の方法がある
  3. 水素発電の安全対策はどうなっている?
  4. 安倍内閣「水素基本戦略」、水素発電の本格導入を明記
  5. 川崎重工と大林組が神戸に水素発電プラント建設
  6. 2030年までに水素発電の国内市場は11倍に
  7. 水素エネルギーの国際競争環境は?
  8. 水素発電の課題は「コストの高さ」
  9. 水素が日本の経済、社会を大きく変える

 

ビジネス+IT

太陽光発電、九電が停止要求の可能性 原発再稼働も一因

 太陽光発電が盛んな九州で、九州電力が事業者に一時的な発電停止を求める「出力制御」に踏み切る可能性が高まっている。早ければ、冷房などの電気の消費が減る9月にも実施されそうだ。原発の再稼働も一因とみられる。実施されれば一部の離島を除いて国内で初めてになる。

 日照条件に恵まれた九州では、太陽光発電が普及している。連休中の今年4月29日には、午後1時の時点で九電管内の電力消費のうち、8割以上を太陽光発電でつくった電気がまかなった。現在も、九電が受け入れる太陽光による発電は月平均で5万キロワット程度のペースで増え続けている。

 電気の需要を超えて供給が増えると、電気の周波数が変動して大規模な停電につながりかねない。九電は火力発電を抑えたり、昼間に太陽光発電の電気を使って水をくみ上げ、夜間に水を流して発電する揚水発電を行ったりして、需給のバランスを調整してきた。

 これらの調整も難しくなったとき、実施するのが国のルールで決まった出力制御だ。太陽光発電の事業者に指示し、発電をストップしてもらう。すでに壱岐(長崎県)や種子島鹿児島県)などの離島では実績があるが、離島を除く国内ではない。

 出力制御の可能性が高まるのが、晴れて太陽光発電の電気が増える一方、冷暖房を使わず消費の伸びない春や秋だ。工場や会社が休みになる休日には消費が一段と落ち込み、実施が現実味を増す。「この秋にも実施する可能性がある」(九電)という。天気などを考慮した需要予測に基づき、出力制御を行う場合は前日の夕方までに事業者にメールなどで指示をする。

 

朝日新聞DIGITAL

人工光合成の実現に道、世界最高の水素変換効率を達成

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)は2018年8月、東京大学とともにCu(In1-x、Gax)Se2(通称:CIGS)をベースとした光触媒を開発し、水素生成エネルギー変換効率12.5%を達成したと発表した。

 NEDOとARPChemは、太陽光のエネルギーを利用して、水から生成した「水素」と工場などから排出される「CO2」を合成して、エチレン(C2)やプロピレン(C3)、ブテン(C4)といった基幹化学品を製造する人工光合成の研究を行ってきた。このプロセスにおいて、光触媒のエネルギー変換効率をさらに向上することが課題となっていた。

 

研究グループは今回、太陽電池の材料として用いられているCIGSをベースに、太陽光のスペクトル強度がピークとなる可視光領域(波長400n~800nm)の光を吸収する光触媒材料を開発した。ここで注目したのがカルコゲナイド系材料である。特にCIGSは、赤外領域の太陽光まで利用できるという特長がある。しかも、p型半導体であるCIGSの表面にn型半導体を成膜、pn接合すれば高い量子効率を得られることが知られている。

 

 研究グループはこれらの知見を参考に、2つの工夫を行った。1つは新規組成のCIGS開発である。これにより、高負荷条件ではCIGSとn型半導体の間の障壁が原因で電子が注入されにくくなるという課題をクリアし、世界最高レベルの水素生成反応を達成した。もう1つは電解液の成分などを最適化した。これにより水素を効率的に得ることが可能になったという。

 これらの工夫により、水素生成エネルギー変換効率は最大12.5%を達成した。この数値は非単結晶光触媒として世界最高の変換効率だと主張する。

 

EE Times

もんじゅ30日から燃料取り出し

 高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉を巡り、日本原子力研究開発機構が、燃料取り出し作業を8月30日に開始する方針を固めたことが28日分かった。児玉敏雄理事長が同日午後、県庁で西川一誠知事と面談し、詳細を報告する。

 関係者によると、燃料取り出し前の最終確認に当たる模擬訓練で、28日までに計9体の燃料に見立てた制御棒を水プールに移送し終える。3班体制で3回ずつ作業を確認し、今後の支障になるような大きなトラブルがこれまでのところないため、取り出し開始の環境が整ったと判断したもようだ。

 機構はもんじゅの炉心などにある燃料を2022年末までに取り出すとしており、まずは年末までに100体を冷却材のナトリウムで満たされた炉外燃料貯蔵槽から取り出し、水プールへ移す。

 もんじゅでは今年に入ってからトラブルや不具合が相次いだ。このため燃料取り出し開始は、当初想定より2カ月近く遅れている。ただ、年末までの工程に変更はないとしている。

 

福井新聞

次世代加速器建設の是非 村山斉氏「国際研究拠点に意義」 観山正見氏「国民の共感得られず」

物理学者の国際組織が岩手・宮城両県の北上山地に建設を目指す次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」をめぐる議論が本格化している。建設の是非について日本学術会議が今月、審議を開始し、政府は年内にも最終決定する見通しだ。新たな物理法則の発見が期待される一方、日本が分担する巨額の建設費への懸念も根強い。推進派の村山斉・米カリフォルニア大バークレー校教授と、慎重派の観山正見・広島大特任教授に聞いた。(科学部 伊藤壽一郎)

村山斉・米カリフォルニア大バークレー校教授

 --ILCで期待できる成果は

 「電子と陽電子をほぼ光速に加速して衝突させ、宇宙誕生時のビッグバンに近い超高エネルギー状態を再現し、宇宙がどう始まり現在の世界が成り立ってきたかなどの謎に迫る。2012年に発見されたヒッグス粒子を詳しく調べ、素粒子物理学の基本である標準理論を超える新たな物理法則の発見を目指す。未知の暗黒物質が発見される可能性もある。どれもノーベル賞に値する成果だ」

 --日本にとってのメリットは

 「日本の将来への貢献になる。天然資源が乏しい日本は、頭脳の力で繁栄してきた。だが最近は基礎科学に用いる大型研究施設の年間予算が10年前の半分に減り、将来への投資をやめる国になってしまった。将来へきちんと投資して次の世代を作り、若者を啓発しないと日本の将来を支えていけない」

 

産経新聞

カミオカンデ、3代目検討…宇宙誕生の謎に迫る

 文部科学省は、次世代の素粒子観測施設「ハイパーカミオカンデ」の建設に向けた検討を始める。2度のノーベル賞受賞につながる成果をあげた「カミオカンデ」と「スーパーカミオカンデ」(共に岐阜県)の後継施設で、ニュートリノなどの素粒子を検出して宇宙誕生の謎に迫る。

 東京大宇宙線研究所が岐阜県飛騨市の山中に建設を計画しており、文科省が来年度予算の概算要求に、調査費数千万円を盛り込む。

 ハイパーカミオカンデは高感度の光センサーを備えた約26万トンの巨大水槽。ニュートリノなどが水槽内の水とごくまれに衝突した際に出る微弱な光をとらえる。ニュートリノと、その反対の性質を持つ反ニュートリノの違いの検証や、物質を構成する陽子が壊れる「陽子崩壊」という未知の現象の発見を目指す。

 

YOMIURI ONLINE

画像診断ミス、ベテラン医師も見落とし 情報過多、経験関係なく 「追いつけぬ目」進むAI開発

 画像診断でがんなど病変の見落としが続発している問題で、見落としは医師の経験年数に関係なく発生していることが22日、医療事故情報を収集する日本医療機能評価機構の調べで分かった。背景には、画像診断技術が高度化したことで医師が扱う情報量が著しく増加し、ベテラン医師でも追いつけていない現状がある。人の目に全面的に頼らず、人工知能(AI)による診断開発も進んでおり、厚生労働省は抜本的な再発防止対策に乗り出した。

検診年420万人

 同機構は、平成27〜29年の3年間に発生した32件の画像診断による病変見落としを調査。医師に職種経験年数を聞いたところ(複数人介在を含む)、1〜5年=7人▽6〜10年=6人▽11〜15年=7人▽16〜20年=4人▽21〜25年=4人▽26〜30年=7人と、ほとんど偏りはなかった。

 32件のうち「撮影目的の部位のみ確認した」が27件で、「医師の目が広範囲に届いていなかった」と指摘する。

 こうした病変の見落としは近年、相次いでいる。東京都杉並区では40代女性が肺がん検診でがんを見落とされ、6月に死亡した。市区町村が公的資金で行う肺がんの検診は40歳以上が対象で年1回行われる。厚労省によると、肺がん検診は27年度に全国約420万人が受診している。

1回で数百枚撮影

 「画像診断の検査数が増加し、診断書の中に記載されている情報量が多く、主治医自身がその結果を消化しきれなくなっている」

 日本医学放射線学会は7月19日、異例の見解を出した。見落としの要因は画像診断を担う放射線科医と主治医の連携不足などに加え、医療の高度化に伴う情報量の増加もあるというのだ。特に画像診断の検査では息を1回止める間に数百枚以上の撮影が可能となったが、主治医が自分の担当領域を見ることに腐心し、十分な知識のない他の領域に映った病変の発見に及ばない恐れも出ている。

 東京慈恵医大病院では病変見落としで患者が死亡したケースを踏まえ、診断報告書を主治医が確認し、必要な対応をしたかスタッフが2回、医師に確認する仕組みを導入した。今春からさらに診断報告書を全患者に手渡すことも始めた。

 ただ、同病院だけで年間約8万5千件の画像診断があり、情報処理には時間がかかる。名古屋大病院の長尾能雅(よしまさ)教授(医療安全)は「技術向上で異常が見つかりやすくなった半面、フォローするシステムが追いついていない」と指摘する。

 

産経新聞

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