東北放射光施設計画、財団に約30社出資 20年に建設実現めざす

 東北経済連合会や東北大学などが中心となって東北放射光施設の建設を推進する財団法人「光科学イノベーションセンター」は15日、設立総会を仙台市内で開いた。IHIなど国内の企業約30社が出資金拠出に同意。今後民間からの資金集めをさらに加速させる。設立総会では施設建設の機運を高めた。東北発の最先端技術開発拠点として、2020年ごろの実現を目指す。

 放射光施設は光速に近い速度に加速させた電子の方向を曲げた際に発生する光を利用し、物質の解析などを行う。国内に9カ所あり、「SPring―8」(兵庫県佐用町)では住友ゴムの低燃費タイヤ「エナセーブ」の開発に結びつくなどの研究実績がある。

 東北地域は空白地帯となっており、東経連や東北大などが中心となって誘致し東北での建設実現を目指している。4月中にも宮城、青森県内の5つの候補地から建設地を選定する。

 建設を後押しするため財団を受け皿として、1口5千万円の出資金を募り、産業界ではIHIや三菱重工業、日立製作所など30社近くの企業が出資を決めた。財団は今後100社以上の出資を目指して業界団体などに呼びかけていく。

 15日の設立総会で、東経連の海輪誠会長は「産学共創の拠点として、世界をリードする製品開発を目指す。ノーベル賞受賞も夢ではない。多くの企業に参画してほしい」と呼びかけた。

 東北放射光施設は「SPring―8」よりも輝度を高くする計画。炭素などの研究に向くため産業利用価値が高い。企業にとって出資すれば優先的に施設が使えるなどの利点が得られるほか、研究成果の報告義務もなく、使いやすい仕組みにする。

 資金が集まり建設計画が実現すれば、産業集積や雇用など地元経済への期待も大きい。東北大の試算では、設置後10年で生産誘発効果は3200億円、雇用創出は1万4千人にのぼる。中小企業の共同利用ができるよう小口出資も募っており、東北の産業界の技術の底上げも期待される。

 同様の施設は世界的にも建設が進んでいる。東経連の向田吉広副会長は「早く建設しないと国内企業が海外の放射光施設で開発するようになる」と指摘。技術の流出を防ぐためにも、2020年ごろまでの完成を目指しているという。

 

日本経済新聞

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