核融研、重水素実験を開始

岐阜県土岐市下石町、自然科学研究機構・核融合科学研究所(核融研)は7日、わずかな燃料で膨大なエネルギーを得られる核融合発電の実現を目指し、重水素を用いた基礎研究「重水素実験」を開始した。最初のプラズマを生成する点火式が行われ、9年間の実験がスタートした。


核融合発電は太陽で起きる核融合を地上で再現するもので、実現すれば3リットルの水と0・3グラムのリチウムを燃料として、日本の1人当たりの年間電気使用量を発電できる。化石燃料などの枯渇が心配される中、「夢のエネルギー」として期待されている。
核融合を起こすには、超高温、高密度にする必要がある。研究では、水素の同位体でより質量の大きい重水素を用い、超高温の雲のようなプラズマの状態を超伝導プラズマ実験装置「大型ヘリカル装置」で作る。2~3カ月の中断を挟みながら実験を続け、イオン温度を年内に1億度超えを目指す。核融研では核融合発電の実証実験は行わない。
点火式には小森彰夫自然科学研究機構長や加藤靖也土岐市長、共同研究員ら約300人が出席。制御室内で竹入康彦所長が実験装置の起動スイッチを押すと2分33秒後、モニターに大型ヘリカル装置内の真空容器で発生した、赤みがかったプラズマが映し出された。
竹入所長は「近隣自治体や住民の方々の理解に感謝する。実験が核融合炉の実現につながるよう、安全と危機管理を徹底する」と話した。
実験では、使用する重水素の最大1万分の1以下が核融合反応を起こし、放射性物質のトリチウムと中性子が発生する。核融研は安全対策として、除去装置の設置や厚さ2メートルのコンクリート壁などにより、外部環境への影響は無いと説明する。ただ近くには住宅地や学校があり、実験の安全性や放射性物質の管理について危惧する住民もいる。
【核融合発電】 原子を構成する原子核と電子をばらばらにしたプラズマ状態を作り、原子核を融合(核融合)させることで、大量のエネルギーを発生させる。このエネルギーを発電に活用する。エネルギーの発生条件として、1億2千万度を超える高温プラズマ状態を、1立方センチメートル当たり原子核の数が100兆個以上の密度で、1秒以上装置の中に閉じ込める必要がある。
【重水素実験】 軽水素より原子核の中性子が一つ多く質量が2倍の重水素を用いることで、プラズマの閉じ込めが向上し、核融合条件に近い超高温で高密度のプラズマの生成を目指す。海外の研究などから、軽水素よりもプラズマ性能が向上することが分かっている。日本では日本原子力研究開発機構那珂核融合研究所(茨城県)で1991~2008年に実施された。

 

岐阜新聞Web

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