極端紫外領域の超高速広域円二色性が計測可能に

左手系分子と右手系(カイラル対称性)分子とを区別することは、化学および生命科学において非常に重要であり、円二色性と呼ばれる方法を使用するのが一般的である。

 

しかし生化学反応の間に、分子のカイラル特性は変化し得るので、使えないことも少なくない。ローザンヌ超高速科学センター(EPFL)の研究チームは、超短波長の極端紫外領域のパルス光を使って、生体分子系でリアルタイムにカイラル対称性の変化を調べる方法を開発した(Oppermann et al., Optica 6, 56, 2019)。

自然界では、同じ化学組成を持つ分子は、人間の手のように、2つの鏡面配置で存在することがある。「カイラリティー」を有する分子はエナンチオマーと呼ばれる。エナンチオマー(鏡像異性体)とは、互いに鏡に映した構造をしている化合物のことで、全く異なる化学的または生物学的性質を示すことがあり、それらを分離することは薬物開発および医学において重要な問題である。

 

chiralityinr copy

Credit: Optica

 

エナンチオマーを検出するために一般的に使用される方法は円二色性(CD)分光法である。それは、円形波に偏光された光が左手系と右手系のエナンチオマーによって吸収スペクトルが異なることを利用する。定常状態CD分光法は、(生物)化学分析における主要な構造的手段である。

リアルタイムで(すなわち1ピコ秒から1ナノ秒の間で)これらを調べることはそれらの生物学的機能の知見が得られるが、これはアミノ酸のような最も生物学的に関連のある分子である遠紫外(300nm以下の波長)領域では困難であった。

これらの制限は、適切なパルス光源と高感度の検出方式がないためである。研究チームは、0.5ピコ秒の分解能でCD分光法によって生体分子のカイラル応答を可視化する技術を開発した。

 

download copy copy

Credit: Optica

 

この実験では、光の偏光を制御できる光弾性変調器を用いる。変調器により、深紫外線領域(250〜370nm)で20 kHzフェムト秒パルス列の偏光スイッチングが可能である。分子が短いレーザーパルスで励起された後、可変の時間遅延で分子のカイラリティーの変化が測定できる。

アミノ酸残基とDNA塩基は300 nm以下の光を吸収する。この技術でこの領域を測定できるようになり、モデル分子システムに続いて、DNAオリゴマーのようなより大きな分子を対象にできると期待されている。

You have no rights to post comments

スポンサーサイト

Copyright© 2013.   放射線ホライゾン rad-horizon.net   All Rights Reserved.