多重周波数光音響イメージングの進歩

光音響顕微鏡は​​短パルスCWレーザー照射で発生する生物の内部からの超音波で、血流や細胞構造の3D画像を生成することができる。ドイツ研究センターヘルムホルツ協会の研究チームは、複数の周波数レーザーを使用いた忠実度の高い光音響イメージング技術を開発した。

 

光音響イメージング

かつて光音響分光が流行したことを記憶している研究者は多いのではないだろうか。光音響イメージングは非破壊の生体組織観察法として、脚光を浴びている。原理は以下に示すように、簡単でレーザー励起のエコー検査と考えて良い。「生きたまま」(In-vivo)観察することが、絶対条件である生体組織観察では、非破壊であると同時に皮膚や筋肉組織を透過して内部組織を観察できることが条件になる。

光音響イメージングはレーザー励起の音響フォノンスペクトロスコピーで生体を対象とした場合、分子振動励起スペクトロスコピーになる。(現在ではTHz帯イメージングが有力なツールとなりつつあるが、THz光源が利用できるようになったのは、最近のことでテーブルトップで生体の3Dイメージングができる光音響イメージングは世界的に普及したポピュラー3Dイメージング技術である。)下図の応用では絵画の裏に隠された絵が光音響イメージングで浮かび上がらせた例である(Tserevelakis et al., Scientific Reports, 7, 747, 2017)。

 

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Credit: Scientific Reports

 

多重周波数光音響イメージング

研究チームは、魚やマウスの組織微小血管系を対象として、特定の周波数でのみ現れた構造の詳細を重ね合わせて光音響イメージングを得た。また、光音響ドップラー効果を使用して周波数シフトを追跡し、組織微小血管内の血流の速度を特定した(Kellinberger et al., Light: Science & Applications 7: 109, 2018)。

光音響(光音響)センシングは通常複雑なレーザー技術を必要とする。過渡的(短寿命)状態の観測のために、ナノ秒スケール(1-100nsec)の超短パルス光が必要になる。超短パルス光でマイクロ秒スケールの広帯域超音波を放出することができるが、パルス繰り返し周波数が低いやめに、スペクトルイメージングに利用可能な波長が制限される。研究チームはこの問題を光強度を複数の離散周波数で変調することで解決した。

 

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Credit: Light: Science & Applications

 

上図は1048nmでの多光子顕微鏡法用のサブシステムと488nmおよび808nmでの二波長光音響顕微鏡法用のサブシステムを含むハイブリッド顕微鏡法システムの概略図。 a)AMP: アンプ、CCD: CCDカメラ、DAQ: データ取得システム、DM: ダイクロイックミラー、GC: ガルバノミラーコントローラ、IQD: IQ復調器、LO1: 局部発振器1、LO2: 局部発振器2、NDF: 減光フィルタ、OF: 光学フィルタ、PC: パソコン、PH: ピンホール、PMT: 光電子増倍管、SHG: 第二高調波発生、THG: 第三高調波発生、TPEF: 二光子励起蛍光、xyz: 電動ステージ。b)ハイブリッドFDOM /多光子(MP)イメージングにおける励起および検出波長のスペクトル。 c)短い光パルスを使用する時間領域での光音響顕微鏡法と、複数の離散周波数で変調されたレーザーを用いた周波数領域(FD)光音響顕微鏡法との比較。なおFDOMはFrequency domain optoacoustic microscopyの略で、周波数領域光音響顕微鏡と表現したが、適当な語句が見当たらないので暫定的な表現である。検出に蛍光を用いるFDOMもある。

 

周波数領域光音響顕微鏡(FDOM)

研究チームは、FDOMをハイブリッドシステムに組み込み、離散周波数(最大9)で、マイクロリアクタ内のフローおよび組織微小血管内での非観血的光音響ドップラーシフト測定を行った。最終的に、5〜50 MHzの周波数範囲で動作するFDOMを、1043 nmで動作する多光子(MP)顕微鏡に実装した。生成された光音響信号の振幅および位相は、リアルタイムで復調され、アナログ - デジタル変換器を使用して記録された。

 

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Credit: Light: Science & Applications

 

研究チームは、マウスの耳でFDマイクロドップラー(μドップラー)測定で微小循環血流の光音響イメージングに成功した。これにより微小循環血流は、血管の端から中心に向かって徐々に速度が増加することが明らかになった。この現象はマイクロチャネル中の流体が壁との摩擦で流速が中心軸上で最大となることと同じである(下図)。

 

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Credit: Light: Science & Applications

 

上図はマウスの耳の微小循環血流の光音響イメージング。この研究で研究チームは、周波数領域光音響顕微鏡(FDOM)ベースの信号検出および復調の使用を初めて実証した。複数の周波数で振幅と位相の信号を捉えることで、光音響イメージングが「生きたままの状態で」血流や細胞組織の動的なイメージングが可能になった。

 

この研究ではFDOMが血流など微小なチャネル中の流体の動的3Dイメージングが可能であることを示したもので、今後のIn-vivo3Dイメージングとして医療分野で活躍することが期待されている。

 

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