SMDによる放射線被曝量の高速評価

ノースカロライナ州立大学の研究チームは、約1時間で放射線被曝を評価できる新しい手法を開発した(Hayes and O’Mara, Radiation Measurements 121, 42, 2019)。これによって放射線災害の際に被曝者を迅速にトリアージ(選別)することが可能になると期待されている。

 

チェルノブイリと福島の教訓

人口密集地域で大規模な放射線災害が発生した場合、潜在的に急性放射線症候群を発症する可能性のある人を治療することは困難である。被曝した可能性のある住民や放射線作業者が多数の場合、治療を必要とする必要のある線量の放射線を受けた人を選別しなければならない。

 

半導体産業の意外な恩恵〜SMD

研究チームが開発した手法は、表面実装抵抗器もしくはSMD(Surface Mount Resistor)レジスタと呼ばれる電子回路の絶縁体の評価に使われる手法に基づいている。この手法は半導体製造工場で使われるためハイスループットと定量性に優れている。TLベースの表面実装抵抗器を使うと、人体の測定では約1時間で個人の被曝量を評価できることがわかった(注1)。検出限界は10mGyで線量1Gyで誤差は3%であった。下にSMDの構造(上)と更正曲線(下)を示した。

(注1)SMDは絶縁体試料を装置から取り外して洗浄して、TLリーダーに入れ、結晶構造の欠陥に起因するスペクトルを収集し、スペクトルデータを解析して線量を計算する。基本的には放射線従事者が携帯するTLBと同じ原理だが、スループットが高い。

 

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Credit: Radiation Measurements

 

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Credit: Radiation Measurements

 

これまでは医療提供者が急性放射線症候群の患者の治療を開始するまでに1〜2週間かかっていたが、この技術は「その場」で、どの患者が必要なケアを必要としているかを特定できるので、被災地で威力を発揮する。急性放射線症候群を特定するだけでなく、当局がどの地域で最も放射線を受けたかを判断するのにも役立てられる。

なおスマートフォンに更正したTLリーダーとアプリを装備すれば、誰でも線量計を持つのと同じように、線量を個人管理できるし、それぞれのデータを集めれば、地域の線量マップが得られる。

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