ESRFが放射光CTの臨床実験に成功〜従来の線量が1/10以下に

病院で受けるCTの線量がどの程度か知った上で検査を受けるだろうか。そうはいっても、CT検査は緊急時に行われる時には生命と引き換えといわれたら拒否できない。CT検査の被曝量は、一般的に生体への影響を表すミリグレイという単位で表現されるので分かりにくいのだ。ミリシーベルトでおおよそ換算すると、だいたい10ミリシーベルトということになる。

CTの発明以来、画像感度および解像度を改善する技術的進歩は目を見張るものがある。しかし意外なことに、臨床使用のための新しい線源タイプは開発されていないのである。グルノーブル大学の研究チームは、初めてシンクロトロン放射光源からのコヒーレント単色X線を使用して、患者の3D CTを取得することに成功した(Labriet et al., Scientific Reports 8:12491, 2018)。

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Credit: Scientific Reports

 

上図は世界初の臨床CT撮影の原理図。(a)とシンクロトロン放射光(b)のコンピューター断層撮影装置。 病院では分散するX線ビームが検出器は患者の周囲を回転しながらデータを収集するのに対して、シンクロトロンでは患者は回転椅子に座ってデータ取得が行われる。

上記(a)のセットアップで、シンクロトロン放射CT(SRCT)画像の臨床評価が行われた。SRCTでは6GeV放射光ESRFのMPW光源を用い、80keV(ボクセルサイズ: 0.350x0.350x2mm3)の単色X線を用いて撮影された。臨床用CT画像とSRCT画像とをファントムで定量的画質比較を行った後、患者に対して臨床試験を行った(下図)。

 

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Credit: Scientific Reports

ESTアルゴリズムを使用して1024データを使用して再構成された患者のSRCTスライスと画像(a)。(b)は340データによる結果を示す。

SRCTは臨床用CTスキャナーで得られる画像よりも優れた画質を最適化することによって、線量を12分の1に減らすことができた。最適化には専用の反復アルゴリズムが開発された。上記画像はシンクロトロン放射線療法を受けた患者の世界初のSRCT結果である。これまでのCTの1/10以下に低減された放射線量で画像の質を落とさずに検査が可能であることがわかった。将来の放射光源ではこれまでの研究者に加えて、放射線療法の患者やCT撮影を目的として訪れる人たちが増えるだろう。

 

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