3D仮想組織像〜3Dイメージングの新しい潮流

病院で大腸内視鏡検査は悪夢である。そこで被験者の負担を軽くするために、直接見る内視鏡に代わって最近、登場したのが3D仮想組織像検査である。CT撮像時の線量さえ気にしなければ、大腸内視鏡検査の負担はなくなる。もちろん細部の精密検査には光学的内視鏡が好ましいが、予備的な検査やスクリーニングに苦痛がなくなることは歓迎したい。一方で病理学ではナノスケールの3D病理検査が可能になりつつある。

 

3D仮想組織像とは

もちろん3D仮想組織像という表現は病院で使われることはない。アルゴリズムででCTから3D像を再構築することは原理的に可能なのである。正確には”Histology”(組織学)の分野で仮想3Dイメージング技術、”Virtual Histology”(仮想組織学)が注目されている。  

下図はヒト小脳の仮想組織像。 (A)断層撮影実験のための試料調製の手順。 生検サンプルをヒト小脳から採取し、実験装置に取り付けるためにカプトンチューブに入れる。(B)低細胞分子と単細胞プルキンエ細胞層の顆粒層との界面を放射光で測定して再構成した横断片。 (C、左)実験室測定の結果(Bと同じ対象)。(C、右)Cの長方形でマークされた領域の拡大図、Bの放射光データセットの視野に対応。

 

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 Credit: PNAS 

 

これまでの病理検査は2Dでマイクロンスケール

病理学研究室のマイクロンスケールで組織の構造の詳細を識別する組織学検査は二次元(2D)情報である。 X線マイクロおよびナノCTを含む非破壊3D技術は、任意の視野角と3D構造の詳細を可能にする。しかし、軟組織のX線減衰は低く、3D仮想組織学の分野における適用を妨げてきた。ミュンヘン工科大学の研究チームは細胞核を標的とするヘマテインベースのX線染色法を開発し、マウスの全小葉で有効性を実証した (Muller et al., Scientific Reports 8: 17855, 2018)。 

 

新しい染色プロトコルで3Dナノ病理検査が可能に

新しい染色プロトコルは、ナノメートルスケールでの組織構造の3D可視化のために高解像度ナノCTシステムを組み合わせた。これによって細胞核の空間的分布を可視化することができる。軟組織サンプル中の細胞核の直接3D可視化には、CT用に開発されたヘマテインベースの染色プロトコルが有効であった。 将来はマイクロCTまたはナノCTにより、組織構造への将来の洞察が、変形性関節症および癌を含む疾患を細胞ナノアーキテクチャで理解することを可能にすると期待されている。

 

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 Credit: Scientific Reports 

 

上図はヘマテインベースのX線染色プロトコールを適用した後の同じマウス肝小葉由来の組織学的顕微鏡スライド(D)と比較したナノCTデータ(A〜C)。ナノCTスライスの厚さは580nm。 (D)ヘマテインベースの染色を適用し、それをパラフィンブロックに埋め込んだ後の同じマウス肝小葉サンプルから得られた厚さ3μmの代表的な組織学的顕微鏡スライド。 

 

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