オペランドエネルギー分散型X線回折によるLiイオンバッテリー電極のLi濃度勾配

EVの最大の問題は航続距離と充電時間の長さで、どちらもバッテリー固有の問題である。そのため航続距離と急速充電技術が普及の鍵となる。フル充電でなくとも急速充電で80%まで15分程度になれば、違和感はそれほど感じないだろう。

 

Liインターカレーション

急速充電に関する主な問題は、正極から負極へのLiイオンの輸送中に起こる現象で、バッテリーが充電されるとき、陰極から引き出されたLiイオンは、グラファイト陽極を構成する炭素原子の平面の間に徐々に入り込む(Liインターカレーション)。

このプロセスが加速されると、Liはグラファイトの表面に金属として析出することになる。 析出したLiは一方の電極から他方の電極へ移動することができないので、電池の性能は劇的に損なわれる。

このLi金属は電池の電解質を化学的に還元し、Liイオンを捕獲する固体−電解質界面を形成し、電極間でそれらが往復できないようになる。その結果、経時的にバッテリーに蓄えられるエネルギーが低下する。

 

アルゴンヌ国立研究所の研究チームは、高輝度X線を使用してアノード中のLi化グラファイトの各相を画像化し、電池の2D画像を作成した。これを基に研究チームは、バッテリーの充電および放電中に負極の異なる領域のLi濃度を定量化した。この研究で、急速充電条件下でLiがバッテリーのセパレータに近い領域に蓄積することが明らかになった(Yao et al., Energy & Environmental Science 2019)。試料は米国では2030型ボタン型バッテリーで、組成は

Li1.03(Ni0.5Co0.2Mn0.3)O2 (NCM523)である。放射光オペランド回折実験はAPSで行われ、13.8μmx1043μmのビームで積算時間は1分、エネルギーは5-250keVであった。

 

Liの電極内の分布が定量化されたことで、バッテリーの診断が容易になった。バテリーの中心部の特定の領域を見るために、研究チームはエネルギー分散型X線回折を使用した(下図)。

 

c8ee02373e f3 hi res copy

Credit: Energy & Environmental Science 2019

 

研究チームはX線回折でグラファイト層に存在する結晶構造を決定した。グラファイトは結晶質材料であるので、Liの挿入でグラファイト格子は広がる。そこで格子定数から、グラファイト中のLi含有量が得られる。

 

c8ee02373e

Credit: Energy & Environmental Science 2019

 

 

You have no rights to post comments

hitachihightec

hitachihightec science

Copyright© 2013.   放射線ホライゾン rad-horizon.net   All Rights Reserved.