Industry4.0とIoT

 世界で最も出生率の低い都市はベルリンである。第二次大戦後に奇跡の復興を遂げたドイツだが日本と同じように高齢化の問題を持っている。ここまでドイツの産業を支えたのは移民、特にトルコ系労働者、であったが、その世代も高齢化したいま、産業の持続性には移民の受け入れと産業の効率化のふたつが重要な施策となる。

 

混迷の続く難民受け入れの寛容さは(民族的な不均一社会と引き換えにしても)そのためである。ドイツがもう一方の産業効率化のために打ち出したのがIndustry4.0である。

技術の進歩によって製造業のひとつひとつのプロセスがデータを共有しそれらを連携し合うことが可能になった。孤立したプロセス間を人間とモノが行き来して製品を作る。そのプロセス全てをオンライン化しようというのである。

例えば金属圧延業工場の例ではIndustry 4.0の採用によって個々のプロセスで閉じていた自動化が、プロセス間での連携が可能となり、それらの作業状況を人間がリアルタイムで監視できるようになる。

 

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Image: vwmin.org

 

つまりプロセス内での最適化から製品プロセス全体の最適化にシフトさせるというアイデアである。ひとつのプロセスで最適化しても全体の生産性は一番低い効率のプロセスで決まるから、全体を統括してプロセスを制御する必要が生じる。

4.0に深いい意味はない。内燃機関によってもたらされた産業革命の後間もなく、電力革命と大量生産によって第二の産業革命がもたらされた。それをIndustry 2.0と呼ぶことにする。Industry 3.0はIT技術とインターネットによるものであった。Industry 4.0では、"Cyber-Physical Production System(CPS)"によって、工場内の全ての機器、「モノ」がインターネットに接続される。

 

CPSのもとでは工場の全ての機器がワイアレスで接続されリアルタイムでデータを送受信する。これにより工場の各製造過程は最適化されて工場全体の生産効率を上げる。カンバン方式のように部品供給の最適化、積み下ろし、加工組立の作業自動化は行われている。カンバン方式をインテリジェント化すれば現場で担当者が部品の在庫を調べ注文する必要もなくなる。自動的に必要な部品補充の指令は倉庫に連絡され、amazonのようロボットが届けてくれる。

工場は各製造過程の情報とメンテナンス情報をリアルタイムに把握することで製造ラインは最大効率で動き続けることができる。作業過程間の情報共有や連携を通じて製造ライン全てのIT化がIndustry4.0である。これに必要なのがIoTとは Internet of Thingsの略。全ての機器がインターネットに接続される状態を指す。

 

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Photo: PEPPERL+FUCHS 

 

人間を中心にした「ユビキタス」より一歩踏み込んだ概念で、ドイツの狙いは日本の得意とするロボットに、それらのインフラとカンバン方式を含めてIT化することにある。こうしてみると日本のアイデアと経験のもとに発展させた工業技術とみなせなくもない。高齢化を共通の問題として抱える日本のIndustry4.0ではどのような独創的な技術が採用されるのだろうか。

 

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