過程が重要な事故原因究明

事故というものは装置を設計した者なら誰でも確率ゼロはあり得ないと思っているだろう。普通は設計に際して重大事故に到達する過程を全て考察し、3重くらいのredundancyを準備する。

多くの事故は結果だけが強調されるが、取り返しのつかない状態に陥る過程には危機を逃れるチャンスがあることが、ほとんどである。それらが全て潰されたときに悲惨な結果を迎える。チェルノブイリにだってそういうチャンスはあったのだ。

ここでは「技術的欠陥」によって引き起こされたのにもかかわらず、基本的な問題によると決めつけられた悲運の「事故」について紹介したい。

 

もんじゅのナトリウム漏れ

高速増殖炉「もんじゅ」では冷却材に液体金属である金属ナトリウムを用いる。ナトリウムの反応性の高さはよく知られていて、まずこの反応性によりその使用自体が危険であるといわれた。事故では、事故後の映像に漏れ出した液体ナトリウムが空気と反応して酸化ナトリウム、水分と反応して水酸化ナトリウムとなり建物の床を覆い尽くした映像が強調される。

しかし熱伝導性のよいナトリウムはエンジンの冷却に封入されて使われているが、漏れ出して火災になった事故はきいたことがない。つまり反応を防げばよいだけの話であった。

ところがナトリウム配管に温度センサーをパイプに垂直に立てるという初歩的な過ちを犯した設計者がいたために、事故は起こるべくして起きた。まず垂直にシースを立てると流体の力でしなり共鳴すれば根元から破断が起きる。

抵抗をできるだけ減らすためにシースを傾けて設置すればよかったし、シースの強度を増やして根元が太くなるようにすべきだった。流体の計測の初歩を知らなかったではすまされない。経験がなかったであろうこの若い設計者を監督する者も責任がある。

ひととおりナトリウム輸送系を追って、構造の弱い場所をピックアップして再設計させるべきであった。

シースを途中まで強固なケースに収容し測定時に伸ばして想定後はまた戻すのでもよい。とにかくお粗末な設計ミスが事故を起こしたことにより、「もんじゅ」は危険だというイメージを作りあげた。

 

コンコルド墜落の真相

コンコルドはエアバス社の前身である英国とフランスの航空機産業が、結集して当時の最先端技術を使い完成させた超音速旅客機で、運用されたものとしてはTu-144を除けば唯一の超音速旅客機である。

エンジンはロールスロイス社が製作したオリンパスという強力な仕様のエンジンを機体の下側に4基を備えた。着陸時に視界を確保するために折れ曲がる機首や美しいシルエットで空港にいる姿をみるのが楽しみであった。

衝撃波と大量の排気ガスによる環境問題と経済性から就役期間は短かったが、それでも運行を停止したのはシャルルドゴール空港で離陸直後に火災を起こして墜落し乗員乗客が全員死亡する大惨事であった。この事故で「超音速機」はやっぱり怖い、といったイメージができてしまったが、事故に機体やパイロットミスはなかったのである。

事故原因は先に離陸した米国系エアラインの機体が滑走路に落とした破片。それを滑走中に引っ掛け飛び散った先に燃料タンクがあった。この事故はあっちうまに「超音速機は危険」という一般のイメージを生み、現役から退くことになった。

事故の原因を知る人たちは機体やパイロットに責任がないことを知っていたが、メデイアの短絡的な報道の前に手が出なかった。そのエアバス社が再び超音速旅客機を計画しているという。マッハ4.5で東京とロサンゼルスを3時間で結ぶ。この機体が安全かどうかは設計次第だが再度挑戦するエアバス社には是非残された人類の夢を実現して欲しい。

 

世の中結果だけが評価されがちだが、事故の過程をきちんと分析する必要がある。

 

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