EPR(欧州加圧水型炉)に危険信号

EPR(European Pressure Reactor)は第三世代加圧水型原子炉でAreva社、Electricite de France(フランス電力)、Simens社が開発した、最新型原子炉でフインランド、フランス、中国、英国で建設が進んでいる。下の図はEPR模式図

 

 

Areva EPR

 すでに建設コストが当初の予定を上回る問題に加えて作業の遅れが生じていたが、将来的には中国へのさらなる輸出やアメリカへの輸出が視野に入っており、その完成はフランス一国の問題のみならず、米英、中という3国とフインランドという原子炉がエネルギーミックスで重要な比率を持つ国々のエネルギー政策の遂行に重要な意味を持つはずであった。

 しかし最近、その設計に重要な欠陥があることが明らかになったことで、Areva社は苦しい立場に追い込まれた。英国のSomersetのHinkley Ppointに建設が予定されているEPRの致命的欠陥とは圧力容器の鋼鉄の成分の炭素含有量が仕様強度を満足できない(多い)ことが明らかになった。

 鋼鉄の成分の微量炭素は材質を硬くするが成分量が多すぎるともろくなる。圧力容器の鋼鉄の強度不足は損壊すれば、放射性物質の閉じ込めという原子炉の基本的な安全性を確保できないことを意味する。

 Areva社はコメントを控えているが、仮にAreva社が製作した圧力容器を交換するとなると数年かかり膨大な経費がかかる。Hinkley PpointにはEPRが2基建設される予定で、資金不足から中国が140億ポンドを投資している。またEPRの設計は同じなので、現在建設中の全てのEPRに共通の問題となる。下の図のようにEPRには何重にも安全システムが組み込まれており、極めて安全な最新型となるはずであった。中でも圧力容器の強度はその中心的な仕様であった。

 

EPR high pressure core melt

 

 鋼材の炭素含有量の欠陥はフランス原子力監督局トップが再試験を行う予定だ。CherbourgのFlamnvilleにあるプロトタイプEPRもすでに遅れており建設費は3倍にも膨れ上がった。今回の再検証で鋼材の欠陥が確認されれば圧力容器の交換という大規模な工事になり、コストと遅れが深刻な問題となる懸念がある。

 中国政府も2009年から開始された2基のEPRについて危惧をいだいており、Areva社の命運とともに国際問題の火種になりかねない深刻な状況となった。

 Hinkley Pointの2基のEPRは英国の電力供給の16%を担う予定であった。またFlamanvilleもフランス政府当局の頭を悩ましている。Areva社とフランス電力のコンビで安全な新型原子炉を世界中に供給し、この分野のリーダーシップをとろうとしていたからだ。

 

フインランドEPR
2005年から建設開始。2014年から運転予定であったが工事が遅延、コストが当初計画を超過した。

FlamanvilleEPR
2007年から建設開始。2016年から運転開始予定であったが、工期の送れとコストが3倍に膨れ上がった。

中国EPR
2007年から2基を建設開始。

 

補足:

炭素鋼の炭素含有量は0.02-2.14%。原子炉の圧力容器はSA533B(低合金鋼)が内張りにステンレス鋼を使用。

 

 

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