空港セキュリテイから姿を消す後方散乱X線スキャナー

 空港の手荷物検査ではX線透過型のスキャナーが活躍している。密度のコントラストは段階にわけてカラリングされるから、金属やプラスチックなど材質ごとに形態が確認できる。  

 福島ではフルボデイカウンターが活躍したが、空港セキュリテイチェックではフルボデイスキャナーが取り入れられるようになった。これにはミリ波を使い3D表示ができるものとここで紹介する後方散乱X線を使う2Dのものがある。

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 よく知られているようにX線のエネルギーが高くなるとコンプトン散乱(非弾性散乱)が多くなり、これは核電荷によるクーロン力によるので、重い原子ほど強い。そこでX線をスキャンしてエネルギーを失った散乱X線の強度を2D表示すると、2D画像が得られる。

 

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 問題点としては1回のスキャンで0.05-0.1μSvの被曝があることと、全身像がプライバシー侵害となることがあるが、911以降は全米の空港に設置されるようになり世界の主要空港でも取り入れるところが増えている。

 

 一般の透過型スキャナーは透過力が高いため爆発物(有機物)の感度が低い。例えばC4という高性能プラスチック爆弾の画像はスイスチーズと全く見分けがつかないそうである。これに対して後方散乱画像は有機物に敏感なため、爆発物の発見に効果があるという。  トラックの荷台を検査する大型のものも開発されておりこちらは国境セキュリテイチェックに使われる。また透過画像と後方散乱画像を同時に測定して重ね合わせる機器も開発されている。

 

関連記事: 国境セキュリテイについて

 

 記事をかいたあとで最新情報に気がついた。米国の空港からRapiscan社のX線後方散乱スキャナーが姿を消すことになったというのである。

 

 2011年にすでに欧州はX線被曝の問題のある後方散乱スキャナーを禁止している。米国内では頻繁に都市間を行き来する飛行機利用客が積算による被曝を憂慮したが、米国内の禁止措置は健康上の問題ではなかった。調査によれば年間100名の旅行者(Frequent Flyerと呼ばれる)が被曝による癌発生のリスクを生じているという。

 

 全身画像をさらすことについてプライバシー侵害が認められたのである。このことを受けて2012年からフルボデイスキャナーの画像検査は自動化し外部に漏れないようにする、という法案が議会で承認された。  後方散乱スキャナーの代わりに置かれるのはミリ波スキャナーとなるが、認識は自動化される。

 

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