原油価格下落でもガス料金値上げの謎

 原油価格の下落が8カ月に渡って続いている。2月にいったんは下げ止まったかのようにみえたが、再び大きな下落の波にのまれた。ガソリンスタンドを通るたびに目に入るガソリン価格もまた少し下がり始めた。

 

 にも関わらず都市ガス大手4社は電気・ガス料金を行なった。あまりメデイアに取り上げられていないが、請求書をみると気がつくはずだ。値上げの根拠は火力発電や都市ガスに使う液化天然ガスの価格が円安の影響などで上昇したためとしている。

 料金改定は、輸入燃料費の変動を自動的に毎月の料金に反映させる燃料費調整制度によるので、原油安の影響が反映されれば電気料金は燃料費調整制度で減らなくてはならない。

 値上げに踏み切るのは全国の一般電気事業者(地域の電力会社)10社のなかで東北、東京、中部、関西、中国、九州の6電力会社と、都市ガス大手4社。火力に依存の少ない北海道、北陸、四国、沖縄の4社は値下げとなった。

 燃料費調整制度が機能していることはわかったが、ガス料金の値上げ巾はどの程度だろうか。東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスがそれぞれ1.4%、1.4%、1.1%、0.92%となる。

 では天然ガス価格の推移をみてみよう。下図にあるように、2011年の震災を契機に我が国の天然ガス価格は上昇し、アメリカの約3倍、欧州の約2倍で推移している。

 

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 アメリカの天然ガス価格が2009年から下落したのはシェールガス産出量が増えたため、欧州の天然ガスが日本より安いのはロシアの天然ガスを輸送コストの安いパイプラインで輸入しているからだ。逆に日本の輸入天然ガス価格が割高なのは液化してタンカーで運ぶからであるが、それでも調達を電力会社やガス会社が個々に行なう制度上の問題でもある。

 次に少し遡って1980年からの価格の推移を比較したのが下図である。これをみると欧州、アメリカに比べて割高な天然ガスが、産業や家庭の足かせになっているかが理解できる。

 

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 現在は原発の穴埋めを火力に頼っている異常な事態でそのための燃料購入費は年間3.6兆円に達する。購入価格が割高な大量の原油、天然ガス輸入から速く脱却しなければならない。そのための代替エネルギーをどうするのか、再生可能エネルギーを増やすのか、原発再稼働か、真剣に考えるべき時が来ている。

 また調達方法を見直して政府一括購入などで単価をさげることや、安価な仕入れ先(ロシアからパイプラインを引く等)の見直しも必要である。中東からの天然ガス輸入はリスクも大きいし、原発穴埋めの火力の燃料ともなれば価格交渉も難しい。一歩踏み出す必要があるかも知れない。

 

 

 

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