マンションの太陽光発電

 一戸建ての「光熱費ゼロ円」という広告に気がつく。これまでの問題は固定価格買い取り制度(FIT)の安定性であったが、ようやく基準となる固定価格も決まり電力会社の20年買い取りが保証されるに至った。現在、将来のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギー35%の環境省案は経済産業省案の<25%案と真っ向から対立しているが、原子力を減らしてなおかつ現在の異常な火力燃料輸入を避けるとなれば、35%目標も視野に入るであろう。

 

 

solar panels

 

 戸建てでは設備投資が個人負担となる。一方、マンションの中には屋上を全面太陽電池パネルを設置して、「電気代を40%ダウン」の「ソーラーマンション」広告をみかけるようになった。本当だろうか。40%といわれても消費量は個別で異なるので、この表現には無理があることくらいはすぐわかる。

 戸建ての「光熱費ゼロ円」でもシミュレーションでは10kW太陽パネルで最大出力に近い設定には難があるのだが、マンションの例を示すと、以下のようになる。


仮定1 38.88円/kWhで電力会社に売電
仮定2 燃料調整費、再生可能エネルギー発電促進賦課金、太陽光発電促進付加金を除く
仮定3 年間発電量 111,166kWh(シミュレーション)

 

 住宅、マンションには大きく分けて東南向き系と南西向き系があり、前者は午前、後者は午後の日射量が多い。ソーラーマンションは東向きに建設される。こうすると垂直設置の太陽光パネル上を太陽が横断し朝から日没までの照射量を最大にできるからである。

 

 さて年間発電量111,166kWhというのはどのくらいの発電量なのか。戸建てで高効率(シリコン単結晶)パネル(注1)で年間関東の東向き設置でのシミュレーション(注2)で約6,000kWhとなる。気になる電気料金は
(注1)モジュールを組み合わせて6.71kWとした。一般的な戸建て住宅の屋根を使い切る面積。
(注2)シミュレータはSHARPのもの。現在、経営再建中のSHARPは今後も住宅用太陽電池パネル生産を継続するとしている。

 

 シリコン太陽電池パネルの構造を下の模式図に示す。電極をバックパネルに配置することにより光照射面積が増える。高効率太陽電池パネルでは必須の技術である。

 

Silicon Solar cell structure and mechanism

 

 発電量からいえばマンション屋上の総発電量は上記の住宅の発電量の20軒分に満たない。説明では基本料金の節電で10%、電力一括購入サービスでの低減7%を考慮した上で、発電した電力の売電収入の還元で40%の残り(23%)がまかなわれるとしている。つまり太陽光売電の効果は23%というようにかくべきなのだ。


 ところでモジュールの変換効率の定義はモジュール最大出力x100をモジュール面積(m2)x1000W/m2である。ここで最大出力とはJIS C8918のAM1.5、放射照度1000W/m2、25度Cで規定される数値である。
例えばNQ-095LDの仕様は次の通りである。セル:単結晶シリコン、最大出力:95W、最大動作電力:10.41A、最大動作電流:9.13A、寸法:990x1092 mm

 

 6.71kWパネル設置でも年間を通じての発電量が12000円/月を超えるのは日照量積分値が多く、冷暖房の必要がない5月のみなので、年間の電気代が売電を差し引いた実質で40,000円程度になる。

 
 真に電気代ゼロ円を達成するには10kWパネルが望まれるが、6.71kWパネルでいくと月あたりの料金が12,000円/月の家庭では「電気料70%ダウン」は実現できそうなだ。しかしソーラーマンションでは「電気代20%ダウン」というのが適切な表現と思われる。後者ではむしろ固定設置蓄電システムを併用し無停電エレベーターの方がアピールポイントが高いだろう。

 

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