ちょっと変わったTIME-LAPSE

 近頃、youtubeで人気なのが美しい風景の時間変化をGoProなどの機材で撮影した高画質映像−TIME-LAPSEである。オーロラ、峡谷、海岸、山々、街並など対象は多岐に渡るが、目の覚めるような美しい時間の変化に心を奪われる。このためかiphone6ではカメラ機能にTIME-ELAPSE撮影機能がついた。

 

 ここで紹介するのはそんな癒される対象ではない。日本人の映像芸術家橋本氏が製作した1945年から1998年までの地球上の核爆発の場所と国名をマップに重ね音と画像で綴った"A Time-Lapse Map of Every Nuclear Explosion Since 1945"である。動画再生数500万回ということで伺えるのは世界中が注目していることだ。

 最初は1945年7月16日にネバダ州のニューメキシコ州で行なわれたトリニテイ実験。このときは20ktプルトニウム爆弾でマンハッタン計画の完成となるとともに世界初の核爆発として歴史に残るものとなった。トリニテイ実験のあと間髪をいれずに投下された広島のリトルボーイ(15kt)と長崎のファットマン(21kt)をいれての3個の核爆弾は皮肉にも、核のトリニテイ(3部作)となった。下の写真は核の時代の幕開けとなったトリニテイ記念碑。

 

Trinity Site Obelisk National Historic Landmark

 

 その後ネバダ州の核実験場と太平洋マーシャル群島での実験を経て、1952年の人類初の水爆実験で熱核兵器時代に突入し、ソ連が加わり現在までに2,000回に及ぶ核実験のTIME-ELAPSEがマップ上に示される。特筆すべきは米ソに混じって英国、フランス、中国の実験も少なくないことで、特にフランスは180回以上という米ソに継ぐ核実験を行なった点で、このことは原子力利用研究の2面性(原子炉と軍用)を如実に示している。

 

 なおこの動画は有名な核開発の背景となった米ソの冷戦時代の記録映像、"Atomic Cafe"に続いて紹介されるので、若い世代はこちらの動画もみておくことを勧めたい。ここでは核開発が原子力時代の幕開けの代名詞とされた当時の状況が良く描かれている。指導者や開発にあたった科学者の異常な執着心が伺えるが、原爆投下による悲惨な映像が世界中に発信されることとなった。

 筆者はかつてマンハッタン計画の拠点となったロスアラモス国立研究所の中にあるこじんまりした原爆資料館を訪れたが、展示品のなかで被災地の状況を示したものは爆心地周辺の写真1枚のみであることは衝撃的であった。最近ではトリニテイ実験場が観光地化して(上の写真)、年間5,000人の観光客が全米から訪れるそうだが、事実を伝える資料館はない。

 

US fallout exposure

 

 多くの核実験につき合わされた米兵が被曝に合っている。上の図は核実験で全米に飛散したヨウ素同位体の密度分布である。Atomic Cafeでは核攻撃から身を守る方法を市民が徹底的に教育された様子が描かれているが、兵士や(市民への)放射線被曝の教育は徹底していなかった。過度な恐怖心は不要であるが正しい放射線に関する知識と情報公開が必要であることをあらためて考えさせられるふたつの動画である。

 ちなみにタイトルとなっているAomic CafeのAtomicという意味は「とてつもなく素晴らしい」ととられていたようである。筆者はローマのとあるカフェのメニューにBomba Atomica(原子爆弾)という名前を見つけた。興味を持って注文してみると焼き上げたパン生地がキノコ雲に似たピザの一種であった。Atomicという言葉が本当に「素晴らしい」を意味する日が来るのだろうか。イラン核交渉は明るい見通しと報道されているが、実際は記事にあるように6月まで待たなければ何ともいえない。

 

You have no rights to post comments

hitachihightec

hitachihightec science

Copyright© 2013.   放射線ホライゾン rad-horizon.net   All Rights Reserved.