太陽光発電全量買い取りの謎

 太陽光買い取り制度が電力会社の送電網安全のためという理由で暗礁に乗り上げたが、一部の太陽電池付きの住宅販売広告では全量買い取りの宣伝文句がそのままである。会社によっては買い取りに関する宣伝を中止したところもあるが、これから購入しようとしている人には気になる問題である。

 

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 例えばT社は10.108kWパネル(10kW以上に相当)を南方位に設置した場合に、全量買い取り20年間で買い取り価格32円+消費税8%のシミュレーションで関東地区で年間発電量10,527.6kWh、1カ月の節約額30,319円(平均)として譲らない。

 10,108kWパネルというのはかなり大型となり、これを達成するのにシャープのモジュールNQ-203ADを35枚、NQ-143ADを21枚の計56枚を使用する。NQ-203ADは変換効率17.6%、最大出力203w、NQ143ADはどれぞれ16.9%、142wとなる。ここで注意したいのはT社のいう発電量10.108kWというのは、太陽電池パネルの最大出力である点である。太陽電池からの配線、コンデイショナー(インバータとコントローラ)の損失、日照条件、取り付けの幾何学配置を含めたシミュレーションでないので、実際の発電量には遠く及ばないはずである。写真はポリシリコン結晶太陽電池モジュール。

 

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 一方大手の住宅メーカーS社の販売員にきくと、S社は買い取り制度についての宣伝広告をしていないということであった。どうやら買い取り制度の政府方針転換後に宣伝を控える会社と、全く無視して販売広告を継続している会社とがあるようだ。

 現実的なシミュレーションは太陽電池パネルメーカー各社のウエブで行うことが可能である。ここではK社の例を示そう。

 ソーラー発電システムの型式(太陽電池容量):PV28R186(5.208kW)でのシミュレーション(注)の結果は年間予測発電量は5,143kWhとなる。この条件でT社10.108kWパネルでは9,982kWhとなり10,527.6kWhと近い。つまりT社は太陽電池パネルの発電量を最大出力を使ったが、シミュレーションはやっていたことになる。T社の広告には誇張があるが買い取りによる節約金額は妥当であった。

 それでも買い取りされないのであれば、発電は全て使い切ることが必要になる。しかしあきらめてはいけない。10kW以上の太陽電池パネルがあれば、バッテリーバンクとつないで電力会社と契約せずに、済ませるオフグリッド生活ができる。買い取り制度がなくなればこのような家庭が増えて電力会社の顧客は減るだろうが電力危機がなくなり送電網も安全に保たれる。バッテリーバンクは下の写真ほどの規模は不要だが、太陽電池買い取りができなくなったいま、発電パネルに対応したシステムを備えることで自給自足が可能となる。

 

Datacenter Backup Batteries

 

(注)K社のシミュレータでは以下の条件が使われた。システムの「太陽電池容量」は、JIS規格に基づいて算出された太陽電池モジュール出力の合計値。実使用時の出力(発電電力)は、日射の強さ、設置 条件(方位・角度・周辺環境)、地域差、及び温度条件により異なる。発電電力は最大でも次の損失により、太陽電池容量の70〜80%程度になる。 日射量データは、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)/(財)日本気象協会「日射関連データの作成・調査」(平成10年3月)の日射データによる。太陽電池モジュールからの発電電力量の損失については、素子温度の上昇による損失率は、12月〜2月を10%、3月〜5月及び9月〜11月を15%、6月〜8月を20%とし、その他損失(配線、受光面の汚れ、逆流防止ダイオードによる損失など)率を5%とする。パワーコンディショナの電力変換効率:94.5%、太陽電池モジュール設置条件 ・傾斜角:10°、方位(真南)

 

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