止まらない汚染水と海洋汚染

 放射性物質の全量はインフレの世界だ。兆(テラ)ベクレルの単位が頻繁に使われる。東京電力福島第1原発から放射性物質が海に流出している問題で、今年5月までの10カ月間に第1原発の港湾内に出たSr90とCs137が計約2兆ベクレルに上る可能性が高いことが7日、東電の資料などで分かった。(時事通信) 下にCs134とCs137の計測マップを示す。半減期の長いCs137は現在でも深刻な問題を引き起こしている。

 

CesiuminFukushima

出典:Atomkatastrophe Fukushima | GLOBAL 2000

 

 1テラベクレル=1012ベクレルとは一体、どのくらいの放射性物質に相当するのだろうか。ベクレルは食品汚染に使われることが多い放射線の強度を表す単位で、1秒間に1個の原子核が崩壊して放射線を出す放射能の量と定義される。この数値が大きいほど、放射線を放出して崩壊する原子核の数が多いが放射性物質(核種)によって放出される放射線の種類や強さが異なる。したがって放射性物質ごとに、人の体に与える影響の大きさは異なる。

 

ベクレルからシーベルトへ
 食品の場合はベクレル/kgで表示するのでBq(ベクレル)/kgの放射性セシウム137が検出された飲食物を1kg食べた場合の人体への影響は、[Bq] x(変換係数*)[Sv]であり、セシウム137に限れば変換係数は1.3x10-5なので、1兆ベクレルは1012x1.3x10-5=1.3x107=13M(メガ)mSv=13K(キロ)Svとなる。被曝の指針として年間100mSvが許容値とされているが、そのおよそ10万倍の量になる。新しい食品基準値(100Br/kg)はドイツよりきびしい値で、検査を受ける事が義務ずけられている国内食品は安全だといえるだろう。しかしそれは虚像である。放出された放射性物質はなくならない。汚染水はいまも海洋に流れ出している。水俣病の原因となったHgが海洋に投棄されつづけていたら、付近の住民はどうするだろうか。

*ベクレルからミリシーベルト(mSv)に換算する係数で、核種(放射性物質の種類)、化学形、摂取経路別に国際放射線防護委員会(ICRP)などで示されている。上の例では、原子力安全委員会の指針(発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に対する評価指針)による。

 

福島原発の核種
 福島原発の主な核種31種の中で半減期が長く汚染でも問題になるのはSr90とCs137で、放出量はそれぞれ140兆、1.5京でCsがSrより10倍多い。ここで問題にする汚染水では海洋に流れ込めば生態系を汚染することになる。どこが怖いのか。

 広島では甲状腺がんは充分なデータがない。甲状腺がんがチェルノブイリで有意に増えたというデータは,ICRPも認めているデータである。ただし,計測が始まったのが被災以後なので,書かれているほど有意であるかどうかには疑問も投げかけられている。いま福島で見つかっている患者が原発の影響でないというのは,まず間違いないと思われる。がんはそんなに急に大きくならない。逆に今のデータがコントロールとなって3年後頃に有意な増加が見られるかどうかがこれからの問題となるであろう。

 生物濃縮はあるが、この範囲だと400倍が最大である。Csは体内で特にSrのように骨に蓄積するということはないので,海水中のCs濃度が著しく高くない限り,非常に深刻ということはないと思われる。一旦体内に入った Cs は大体70日ぐらいで排出される。したがって,偶々Cs濃度がちょっと高い魚を食べたとしてもあまり問題に考える必要はないと思われる。この点は,水俣病のHg汚染や PCB 汚染とは根本的に異なると思ってよい。ただ,Srは別である。これは一旦体内に入ったら半減期(30年)居続けると思わなければならない。福島の場合,拡散したCsとSrは 10:1 以下だが,汚染水をそのまま海に流すと Sr は問題になる可能性はある。

 海外報道では日本が汚染水処理に失敗したととられている。今後の継続的な垂れ流しにより海洋が汚染されると考えられている。核燃料プールの安全性と汚染水の垂れ流し問題の解決が責務であると同時に、日本の技術力の真価が問われている。下の図は津波の影響を示すマップである。この図を突きつけられてどう返答するか一人一人が考える必要がある。

 

2011Sendai-NOAA-Energylhvpd9-05

 

図の出典:

太平洋津波警戒センター(Pacific Tsunami Warning Center)http://ptwc.weather.gov/text.php?id=hawaii.2011.03.11.073148

このデータは欧米ではメデイアが多くとりあげられて流通しているようで下記のURLを参照。

www.fastcodesign.com/1663400/infographic-video-watch-japans-quake-ripple-through-the-pacific

www.sigmalive.com/news/international/41486/iaponia-seismiki-donisi-61-rixter

津波の影響をシミュレーションした結果。放射線レベルではない。そのためスケールがcmではない。拡散ではなく海流を含めた津波に寄る効果だが、影響の広範囲さを示す。

コメント   

# toshiさん 2014年11月14日 06:02
ブログの良くないのは、修正がいつでも可能なことです。後日、訂正修正することは必須のことですが、その履歴をきちんと残しておくべき、と思います。

元文を残していただくよう、どういう修正をいつ行ったのか、明示していただくよう、お願いします。

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