Iran P5+1の暫定合意(2015年4月2日):6月末までに検認技術確立を目指す

たった今(ウイーン時間2015年4月2日21時)、オバマ大統領のイラン交渉についての演説をCNNで見た。非常に興味深いので短いコメントを投稿する。演説自体は早晩報道されるであろうが、私の印象は以下のとおりである。

大統領はCore Objectiveという表現で、交渉合意(deal)の目的がイランの核兵器開発を平和的に終わらせることとしている。

これにより、イランが中東でのスンニ派ムスリム、イスラエルなどとの対立や、中東の戦闘状況などと、イランの核問題を切り離している。演説の最後でこのイランとの合意(deal)が中東問題の全面解決を目指すものではないことを確認している。その一方で、このdealがイランの核開発の脅威を平和的に解決するので、P5と先進国のみならず中東諸国、イスラエルにとっても最適な解決であると主張している。

Core Objectiveの達成に向け、今回のdealが核開発への二つの経路(プルトニウム経路、高濃縮ウラン経路)がイランで行われていないことをを、将来にわたって検証できることを強調している。プルトニウム再処理はアラクの重水炉心を撤去し、ウラン濃縮はナタンツを大幅に縮小し、フォルドーは閉鎖することにより、二つの核兵器取得経路を事実上イランからなくすことでCore Objectiveを達成する一方で、これら経路が将来にわたり存在しないことをIAEAがを検認するというのが今回の deal の骨子であろう。これは核拡散経路分析の基本で、理論的にこの二つの経路がない国では、核兵器開発はできないということで、ある意味では自明の命題である。この合意がIAEAのみならず、核拡散専門家の強い支援をうけていることがうかがわれる。演説の後半で、予想される国内での反発を念頭に置いて、活発な議論を呼びかける一方で、核拡散、安全保障の専門家の知見に基く責任のある現実的発言を(特に議会に対し)求めている。

イランの核問題、制裁解除については主観的、現実的な意見に偏りがちだが、今回の合意はイランの核兵器開発を平和的に終わらせるための検証を強調している点で、合理的なものと思われる。これから3か月という短期間に、IAEAを中心とする客観的合理的な検認技術が確立されることを期待している。

 

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コメント  

 
# カフカ 2015年04月06日 05:53
アメリカはキューバでも交渉妥結 を急いでいるし、欧州も日本もサ ウジも、イスラエルすら距離を置 きたがっています。かつてなら空 爆をちらつかせ、空母を近海に派 遣すればよかった時代は完全に終 焉を迎えたようです。日本にとっ てイランは米国との外交交渉のお 手本になるかも知れませんね。
 
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