宇宙天気に影響を与えた冷戦〜高高度核実験

地磁気を反映した宇宙天気は人間生活への影響はないというのが通説だった。出かける前に宇宙天気予報をみていく人はいないだろう。このコラムでは日本語と英語の宇宙天気が人間生活に影響を及ぼすと考えてリンクをはっている。最たるものが太陽活動に直結する紫外線の影響である。冷戦時に行われた高高度核実験で地球磁場が影響があったことがわかってきた。

 

高高度核実験で人工オーロラ

1958-1962年の間に米ソ両国は高高度核実験を行った。その後はNPTによって核実験は行われていないが、過去の実験が地球磁場に影響を与えている(Space Science Reviews 2017)

MITのヘイスタック天文台によると地球磁場への影響は太陽嵐で運ばれる高エネルギー荷電粒子が支配的である。ほとんどの荷電粒子は地球磁場で跳ね返されて大気圏に届かないが、わずかに地球磁場を突破して底高度軌道にある衛星や宇宙船に影響を与える粒子もある。これらは大気圏内にオーロラを発生させるが同時に金属中に電流を発生させ送電網に悪影響を与える。

 

地表から16-250マイルの高度で行われた冷戦時の高高度核実験は大気圏内に侵入してくる荷電粒子状態を人工的につくりだした。核爆発によって高温のプラズマが広がって大気中の気体分子を電離し励起原子・分子を生成した。このため地球磁場を歪ませ地表に誘導電流を生じた。さらに一部はバンアレン帯のような荷電粒子による放射線帯をつくることもあった。

このような人工的な放射線帯の荷電粒子のもつエネルギーは自然のものと異なるため、エネルギー分析でバンアレン帯の中の人工(核爆発)による成分は区別することができる。1958年8月1日に行われたTeakと呼ばれる高高度核実験では人工オーロラが観測された。続いて行われたAugus核実験では世界中に人工オーロラが出現したという。これらの実験では時速1,860マイルという超高速の高速粒子と音速の1/4の遅い荷電粒子が観測された。

 

宇宙飛行の安全性に寄与

核実験の影響は現在では影響力がないがこのデータをもとにNASAは宇宙船への影響を調べることが可能になったとしている。NASAはバンアレン帯調査プロジェクトMMSや地球磁場を調べるTHEMIS、STEREOプロジェクトで地球磁場のデータを蓄積しているが、核実験の影響による人工放射線帯は能動的に宇宙天候を変化させた貴重なデータをもたらした。

高高度核実験に関する情報は秘密解除で順次、公開されたため地球磁場への影響が明らかになった。

 

Hardtack-I-Teak-1958-1

 

Credit: ausairpower

 

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