無視できないラドンリスクについて

すでに放射性ラドンが温泉の他に肺癌リスクファクターとなることについて記事を書いている。そのリスクは喫煙についで2番目となると書けば、驚くかもしれないが事実である。150Bq/m3あたりの肺癌リスクは24%と侮れない。ラドンが始末に悪いのは気体であるため屋内に溜まりやすいこと。呼吸により肺細胞が被曝するのである。

 

意外に高い肺癌リスク

ラドンの肺癌リスクについてWHOは2005年に警告を出しており、厳しい環境基準で知られる米国環境保善局(EPA)も癌の死亡率の上位にあるラドンによる肺癌について警告を発している。下図で無視できないことは明らかである。

では一体、どのような原因でラドンの被曝を受けるのだろうか。放射性ラドン(222Rn)はよく知られているように、ラジウムの壊変で生成する。化学的性質は希ガスと同じ価電子構造のため、不活性であることが災いして化合物としてトラップされないことが問題となる。半減期は3.8日と短いのでなくなりそうに思えるが、222Rnはラジウムから作り出され、そのラジウムはウラン系列なので、結果的には地表の自然放射線量の1/2程度を占めることになる。そのラドンは機密性の高い集合住宅の屋内で濃度が高まることが問題になる。

 

seer 2010 us mortality

Credit: EPA

 

米国の井戸のラドン汚染

そのラドンが最近、米国ペンシルバニア州の14%の井戸水が高濃度のラドンを含むことが明らかになった。水に含まれるラドンは炭素フイルターで除去できる。ラドンによる被曝の防止は資料に詳しく書かれている。ペンシルバニア州といえばスリーマイル島の地域で、度々大気中の放射線量異常が報告されている地域となれば、井戸水の高濃度ラドンの報告も驚くべきことではないのかもしれない。

なお大気中のラドン濃度は時間に依存して太陽がのぼる前の朝方5—7時が最も高く日中は低くなる。またラドンの影響はスーパーカミオカンデのニュートリノ観測のバックグラウンドになるため、PINフォトダイオードによるラドン検出器で定量測定が行われた。その結果、スーパーカミオカンデの純粋タンク中と空気層の両方にラドン(222Rn)が存在し、それぞれ5.1Bq/m3、8.8Bq/m3となった。(厳密には検出器内部にもラドンが存在する)ちなみにEPAが問題にするのは150Bq/m3を超えた値である。

ラドンの地域差や時間変化、水中か大気中かに注意する必要があり、特にウランを扱う原子力関連施設付近ではモニタリングを徹底しなければならないが、屋内に溜まったラドンはHEPAフイルターもしくは換気で定期的に逃してやる必要がある。

 

sources radiation copy

Credit: carleton.edu

 

肺癌イコール喫煙と考えるのは間違いのようだ。ラドンのリスクはウランのリスクでもある。今や避けては通れないリスクなのである。自然放射線量の55%がラドンということになると(上図)は喫煙者や受動喫煙以外の主要な肺癌リスクとなるだろう。

 男性の肺癌患者の70%が喫煙者だということを考慮すると、ラドンリスクは無視できないことを忘れてはならないようだ。

 

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